プロが教える年末調整 その1 年末調整とは
プロが教える年末調整「年末調整のあらましとチェックポイント」 |
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その1 年末調整とは 1 年末調整の概要 2 年末調整が必要な理由 3 年末調整の対象者 4 年末調整を行う時期 |
その2 Q&A「年末調整の対象者・年末調整の実施時期等」 1 外国人社員と年末調整 2 海外出向社員の年末調整 3 雇用保険の失業給付を受けていた社員の年末調整 4 前職の源泉徴収票が提出できない者の年末調整 5 扶養控除を受けるために退職するパートタイマー |
その3 年末調整の手順・事務の概要とその具体例 1 年末調整の手順と事務の概要 2 年末調整の具体例(甲さんの場合) |
その 4 年末調整の手順・事務の概要とその具体例 とQ&A その 5 扶養控除・配偶者(特別)控除の Q&A |
その 6 各種保険料控除の概要とQ&A その 7 各種控除や年末調整に際しての留意点とそのQ&A |
その1 年末調整とは
(はじめに)
今年も年末調整の時期が近づきました。年末調整は大部分のサラリーマンにとってその年の所得税の確定申告に代わる大事な手続きと言えます。このため、給与の支払者である企業や団体などにおいては、ミスなく適正な年末調整を実施する必要があります。本シリーズでは、年末調整手続きのあらましと主なチェックポイントをQ&A形式を中心に解説いたします。
1 年末調整の概要
年末調整とは、給与の支払者がその年最後に給与の支払いをする際、給与所得者ごとに、その年中に給与を支払う都度、源泉徴収をした所得税の合計額とその年中の給与の支給総額に対する正規の年税額とを比較して、過不足の精算を行うことを言います。
一般に、給与所得者は、給与以外に所得がないか、給与以外の所得があってもその額が少額であるという人が大部分を占めます。このような人については、勤務先で年末調整により税額の清算が行われることによって、原則として、確定申告を行う必要がないことになるわけですから、非常に大切な手続きといえます。
2 年末調整が必要な理由
所得税は1年間の所得をもとにして課税されます。給与等の支払者がその支払の都度、源泉徴収して給付する税額は、1年間に給付すべき所得税の一部を概算で徴収・納付する税額といえます。
毎月の給与等や賞与について源泉徴収税額を計算する「源泉徴収税額表」は、例えば、その給与等が月額で支払われる場合には、1年間を通じて毎月同額の給与等が支払われるという前提のもとに作られており、年の中途で給与等の支払額に異動があったような場合には、毎月源泉徴収した税額の年間合計額と年税額との間には、当然、差異が生じてきます。
この差異が生ずる理由は人によって異なりますが、その主な理由としては、①源泉徴収税額表は、年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして作られているが、実際は給与の額に変動があること、②年の中途で扶養親族の数等に異動があっても、異動後の支払分から修正することとされ、さかのぼって源泉徴収表を修正することとされていないこと、③生命保険料、地震保険料の控除などの特定の控除については、年末調整の際に一括して控除することとされていることなどが挙げられます。
このような不一致を精算するため、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足を求め、その差額を徴収又は還付することが必要となります。
3 年末調整の対象者
給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人で、次のいずれかに該当する人については、給与の支払者は年末調整を行うものとされていますが、例外的に年末調整の対象とならない人もいます。「年末調整の対象となる人」及び「年末調整の対象にならない人」を列挙すると次のとおりとなります。
(1)年末調整の対象となる人
イ 1年を通じて勤務する人
ロ 年の中途で就職し、年末まで勤務している人
ハ 年の中途で退職した人のうち、次の人
① 死亡により退職した人
② 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人
③ 12月中に支給額の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
④ いわゆるパートタイマーとして働いている人が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。)
二 年の中途で海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有していない人をいいます。)
(2)年末調整の対象とならない人
次のいずれかに該当する人は、年末調整の対象とならないこととされています。
イ 上記(1)に掲げる人のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人
ロ 上記(1)に掲げる人のうち、災害により被害を受けて、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
ハ 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整を行うときまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
二 年の中途で退職した人で、上記(1)のハに該当しない人
ホ 非居住者
へ 継続して同一の雇い主に雇われないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)
4 年末調整を行う時期
年末調整は、原則として本年最後に給与を支払う時(通常は12月)に行いますが、年の中途においても年末調整を行わなければならない事情が生ずることがあります。例えば、次のような場合には、その年において再び給与を受けないことが明らかであり、又は居住者として受ける給与がなくなるので、それぞれ、その事由が生じたときにおいて源泉徴収税額の精算を行うこととなり、年末でない時期に年末調整を行うこととなります。
(1) 給与の支払を受ける人が死亡により退職した場合…退職の時
(2) 給与の支払を受ける人が海外支店などの勤務のため出国し非居住者となった場合…非居住者となった時
(3) 給与の支払を受ける人が著しい心身の障害のため退職した場合で、その退職時期からみてその年中に再就職することができないと見込まれる時…退職の時
(4) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが年の中途で退職した場合でその人がその年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下であるとき(退職後その年中に他の勤務先から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。)…退職の時