見当違いの信頼 教会指導者が少なくとも67万3,000ドルを口座から引き出す(その3 全4回)
判決と賠償(Sentencing and restitution)
2014年6月5日、オズボーンは第2級重窃盗罪2件と第3級重窃盗罪1件について有罪を認めた。本稿の冒頭でファヘイ裁判官が述べたように、2014年12月、オズボーンはニューヨーク州法下で最も重い刑である5年から15年の州刑務所の懲役刑を宣告された。(参照:判決裁判所記録http://tinyurl.com/hutt4hv)
またオズボーンは、39万2,000ドルと8万1,090ドルの賠償金の支払いを命じられた。(参照:賠償命令 http://tinyurl.com/hllgnvs)。判決手続きの際に、オズボーンは 「教会メンバーから(金銭を)搾取する意図は全くなかった」と述べた。自分と妻は「金銭問題」を抱えていたので、自分がその助けになると思って決断したと述べている。
オズボーンは2015年7月9日に、ニューヨークのマローン(Malone)にある、フランクリン更生施設(the Franklin Correctional Facility)に入所した。ニューヨーク州更生監督局(the New York State Department of Corrections and Supervision)によると、彼は最も早ければ2019年12月15日に釈放される。(http://tinyurl.com/hbb3496)
2014年6月23日、マイヤーは陪審裁判を受ける権利を放棄し、第2級重窃盗罪1件の有罪を認めた。2014年12月、州刑務所における3年から9年の懲役刑と20万ドルの賠償金の支払いを命じられた。2015年1月20日、彼女はニューヨーク市アルビオンのアルビオン更生施設(the Albion Correctional Facility in Albion, New York)に入所した。彼女は最も早ければ2017年12月6日に釈放される。
マイヤーは現在、ニューヨーク州公認会計士登録簿に「未登録」と表記されている。nysed.go(ニューヨーク州教育局、http://tinyurl.com/gs9cgk8)の公式サイトにある専門職管理事務所(Office of the Professions)の指導ガイドラインを見る限り、適切だと思われる表記である「無効」になっていない理由は我々には分からない。ニューヨーク州統一法廷システム(the New York State Unified Court System)によると、2014年7月29日付でマイヤーから弁護士資格は剥奪されている。
背任行為(BREACH OF TRUST)
オズボーンが刑の宣告を受けた際、この事件を訴追したオノンダガ郡補地方検事補(the assistant district attorney for Onondaga Count)ベス・バン・ドーレン(Beth Van Doren)は、「オズボーンが、教会メンバーになって最初にした質問は、『教会内のすべての委員会に関与できるポジションはどれか?』ということであった」と述べている。(参照:判決裁判所記録 http://tinyurl.com/hutt4hvで)
オズボーンは、明らかに教会内の信頼を受けるポジションを望んでいた。教会協議会は、彼を財務委員長に任命し、複数の教会機能を監督する権限を与えることにより、信頼を受ける彼のポジションを一層強化した。マイヤーを会計係として任命したことはこの状況を悪化させた。
小規模組織は適切な職務の分離を実施しないことが多いが、財務委員会は帳簿を管理する会計係に適した内部統制を構築することは可能である。しかし、オズボーンとマイヤーは教会資金を厳格に管理していたので、可能なあらゆる統制を完全に回避していた。このような状況により、この夫婦が横領を企て、実行するのを可能にしていた。
なぜこのような事が起こり得たのか?(HOW COULD THIS HAVE POSSIBLY HAPPENED?)
僅かな金額を集め、その使命を遂行しようとするような組織が、ある日突然公共料金も支払えなくなるようなことが、どのようして起こるのだろうか?このような事態を防止するか、少なくとも問題を発見し、その損失を軽減できたはずではないだろうか?どのようにして、事実と状況が重なり、不正の実行を許容したのだろう?
残念なことに、今回のような事例はそれほど珍しいことではない。ほとんどすべての会計士や不正検査士が、管理職、簿記係、取締役会メンバーが教会、市民団体、青少年団体、地方自治体などの非営利組織を利用した事例を語ることができる。不正を可能にするこれらの組織に特有の性質としては以下が考えられる。
(その4に続く)