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見当違いの信頼 教会指導者が少なくとも67万3,000ドルを口座から引き出す(その2 全4回)

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 2012年6月、オズボーンは、ビジネスパートナーを助けるとして、教区民の仲間に6万ドルの貸付を頼んだ。(参照:「告発された教会の横領者は相互抑制と均衡の関係だった」“Accused church embezzlers were each other’s check and balance,” by John O’Brien, Syracuse.com/The Post-Standard, Oct. 20, 2013,http://tinyurl.com/zdejrdl.)。しかしオズボーンは、約束した返済期限にその金を返さなかった。
 時が過ぎた。その教区民は、自分の弁護士に連絡を取り、その弁護士がオズボーンの身辺調査を私立探偵に依頼した。彼らは1990年から2006年にかけて、オズボーンに対する合計27万5,000ドルにも上る13の判決を発見した。そこには、4万2,000ドルの内国歳入庁(U.S. Internal Revenue Service)の租税先取特権(訳注:税金を滞納している人の財産を差し押さえる行為)や、ビジネス上の契約違反や未払いの負債などによる11件の訴訟などが含まれていた。
 Syracuse.com/The Post-Standardの記事によると、彼らは、オズボーンがカミルス・ハウジング・オーソリティ(the Camillus Housing Authority)の会計係であった時代に、12万ドルを横領し、それを1992年に認めていた事実を知った。オズボーンは「取引記録を偽造した」罪で有罪判決を受けており、5年の執行猶予を宣告され、その金を返却するように命じられていた。
 弁護士と私立探偵は、教会の牧師と会い、教会の財政問題の原因はオズボーンの横領であると確信していると告げた。オノンダガ郡地方検事局がさらに調査を進め、オズボーンとマイヤーが教会の財務を担当した期間に、約67万3,000ドルを横領していたと断定した。

安っぽい内情(The tawdry details)

 大陪審への告訴状(http://tinyurl.com/jajhzqg)によると、教会の現金資産は、RBCウェルスマネジメント社(RBC Wealth Management)の投資口座とアライアンス・バンク(Alliance Bank)の当座預金口座で管理されていた。この投資口座は取り組んでいる各種プログラムごとに分割管理されていた。例えば、新規設立資金(the New Building Fund)、牧師館資金(the Parsonage Fund)、補修資金(the Maintenance Fund)、そして記念碑基金(the Memorial Fund)などであり、資金の合計は60万ドルを超えていた。また、オズボーンはこれらの口座すべてに対して署名する権限を持ち管理権を行使できたので、資金をRBC投信口座からアライアンスの当座預金口座に移すこともできた。
 2008年1月から2013年2月にかけて、マイヤーが会計係として発行・署名し、オズボーンが現金化した小切手は298通であり、合計金額は50万5,754ドルだった。同様に、2008年6月から2012年12月にかけて、マイヤーは小切手17通を発行・書名、現金化していた。その額は合計2万9,754ドルでマイヤー個人に支払われた。
 また、2008年1月から2010年5月にかけて、マイヤーは、アライアンス・バンクを支払先とした小切手27通、 合計で27万8,000ドルにサインをしている。オズボーンは、これらの小切手をアライアンス・バンクの小切手を購入するために利用し、購入した小切手の振り出し先は、オズボーンが所有するアシュトン・ホールディングス社(Ashton Holdings, LLC)だった。
 オノンダガ郡地区検察局の不正、経済、金融犯罪チーム(fraud, economic & financial crimes at the Onondaga County District Attorney’s office)所属の上級調査官であるジェームズ・パリオッタ(James Paliotta)によると、これらの資金を使ってアシュトン・ホールディングス社を振り出し先としたアライアンス・バンク小切手を購入した目的は、「資金の流れの痕跡を覆い隠し、追跡を困難にすること」だった。(参照:大陪審告訴状、http://tinyurl.com/jajhzqg)さらにパリオッタは、この夫婦はこれらの小切手から得られた金のいくらかを正当な教会経費の支払いに使い、その残りを着服していたと断定した。従って、オズボーンとマイヤーが横領した金額の正確な数字を当局は把握することができなかった。

(その3に続く)

この記事の執筆者

John E. “Jack” Little, CFE, CPA
ニューヨーク州イサカ (Ithaca) にあるコーネル大学ビジネススクール (the College of Business at Cornell University) の、ジョンソン経営大学院 (Johnson Graduate School of Management) の会計プログラム修士課程のダイレクターであり、ダイソン応用経済学・経営大学院 (the Dyson School of Applied Economics and Management) の訴訟手続き、会計分野専門の教授である。開業医でもある。
Gabrielle M. Schiffmiller
2016年5月にコーネル大学ビジネススクールのダイソン応用経済学大学院を卒業した。ニューヨークのEYのアシュアランス・アソシエイト(assurance associate)でもある。
※執筆者の所属、保有資格等は本稿初出時のものである。

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 2012年6月、オズボーンは、ビジネスパートナーを助けるとして、教区民の仲間に6万ドルの貸付を頼んだ。(参照:「告発された教会の横領者は相互抑制と均衡の関係だった」“Accused church embezzlers were each other’s check and balance,” by John O’Brien, Syracuse.com/The Post-Standard, Oct. 20, 2013,http://tinyurl.com/zdejrdl.)。しかしオズボーンは、約束した返済期限にその金を返さなかった。 時が過ぎた。その教区民は、自分の弁護士に連絡を取り、その弁護士がオズボーンの身辺調査を私立探偵に依頼した。彼らは1990年から2006年にかけて、オズボーンに対する合計27万5,000ドルにも上る13の判決を発見した。そこには、4万2,000ドルの内国歳入庁(U.S. Internal Revenue Service)の租税先取特権(訳注:税金を滞納している人の財産を差し押さえる行為)や、ビジネス上の契約違反や未払いの負債などによる11件の訴訟などが含まれていた。 Syracuse.com/The Post-Standardの記事によると、彼らは、オズボーンがカミルス・ハウジング・オーソリティ(the Camillus Housing Authority)の会計係であった時代に、12万ドルを横領し、それを1992年に認めていた事実を知った。オズボーンは「取引記録を偽造した」罪で有罪判決を受けており、5年の執行猶予を宣告され、その金を返却するように命じられていた。 弁護士と私立探偵は、教会の牧師と会い、教会の財政問題の原因はオズボーンの横領であると確信していると告げた。オノンダガ郡地方検事局がさらに調査を進め、オズボーンとマイヤーが教会の財務を担当した期間に、約67万3,000ドルを横領していたと断定した。
2019.12.06 16:14:17