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記憶に残る事例Part2 もっと多くの指導されるべきためになる話(その2 全4回)

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 FBI はコーチの資料を連邦検事補に渡し、彼の調査を承認した。コーチの2014 年3 月17 日の報告書と明白な証拠のバインダーは2003 年から2014 年までの間の144 万7,553ドルの損失を示していた。シュレーダーは3 週間後の2014年4月9日に報告された金額の通信詐欺で起訴された。
 彼は、DAT SolutionsのCEOが問題の署名を発見した5ヵ月後の2014年6月12日に通信詐欺の1つに関し有罪を認めた。シュレーダーは連邦刑務所で46ヶ月の刑期を務めている。裁判所は彼に140万ドル以上の返還を命じた。2014年10月2日のFBI発表によれば、「判事は被告に対し、彼が詐欺師、嘘つき、いかさま師、偽造者と仲間から呼ばれたとき、彼は既にそうであったのだと告げた」 (参照:http://tinyurl.com/gr87tex)。
 「不正検査のタイミング、FBIへの報告、起訴と判決は本当に素晴らしいものでした」とコーチは言う。「私は、このようなやり方、つまり早い段階で法執行機関と協働し結果を得ることが効果的だったもっと多くの案件を見てみたいと思います」

将来の案件に応用できる教訓(Lessons learned for application to future cases)

コーチは以下を推奨している。
 ・不正検査では初期のインタビューが背景やヒントを得る鍵である。面談を受ける者に彼らの感情を表現させ、中断することなく彼らの話を語らせよう。
・自分のツールベルトに用意しているすべての道具を活用する。「確認(Confirmations)」は監査技法だが、我々の案件では必要な証拠を発見するための完璧な方法であった。
・直感に従う。あなたの本能は理由があって存在する。
・法執行機関を早期に巻き込み、彼らが素早く行動するために使用できる強固な証拠と情報を提供する。
・注目に値する成果物を提供する。明白な証拠を伴った詳細報告書は、法執行機関が事例を理解するのを助け、検察官事務所を「納得させる」のに役立つ。

皮肉な結末(Ironic ending)

 2014年10月15日のFBI発表によれば、シュレーダーの判決の翌日、彼の弁護士は検察に対し彼が仲間と不動産を共同所有していると告げた。シュレーダーはその資産の売却代金の50%しか損害賠償に充てられず、残りの50%は共同経営者の分であると主張した。
 検察は、シュレーダーの共同経営者は国の資産記録に記載されていないことを確認し、彼の要請を棄却した。シュレーダーは次に裁判所に対してシュレーダーと共同経営者の間の「2005年3月付所有権契約書」を提出した。しかし、シュレーダーの共同経営者と思われた人物は、政府に対し、シュレーダーは判決の数日後に近づいてきて偽造の所有権契約書への署名と実際よりも前の日付にすることを頼んできたと話した(参照:http://tnyurl.com/jukgd2y)。
 判事は仮釈放を取消し、彼は「ほんの少しも信用できない」と話した。
「判決から1週間、家族との休暇を認められた後、シュレーダーは裁判所に戻され、手錠をかけられ、所轄の留置所に連行されて連邦刑務所に移送される1月まで滞在しなければならなかったのです」とコーチは語る。

不正の体系図の3つの枝を揺らす(Shaking down three branches of the Fraud Tree)

 ACFEの不正の体系図(ACFE.com/fraudtree)の3つの枝の全てから犯罪が生まれることは滅多にないが、ゲリー・ザック (Gerry Zack, CFE, CPA, CIA) は大規模な非営利組織の不正を調査した際に、その例を発見した。
 2011年に内部通報者が、それより6年前にある組織でCEOの近い親戚であるCOOが57万5,000ドルを横領したことを明らかにした。「しかし、CEOはその横領を知っていましたが、COOは自分の犯罪を取締役会から隠していました。彼は、資金を返済の上、彼女を将来の財務上の監督義務から解放するという条件で彼女と和解しました」と BDO Consulting社のGlobal Forensicのmanaging directorであり、ACFE理事会の前会長であるザックは言う。(彼はACFEの多くのコースで教えている)。「取締役会は家族の一員であるCOOが最初の横領以降、他に財務上の不適切行為をはたらいていないかを私に調べさせたのです」とザックは言う。

(その3に続く)
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初出:FRAUDマガジン50号(2016年6月1日発行)

この記事の執筆者

Dick Carozza, CFE
FRAUDマガジンの編集長である。
翻訳協力:阿部 稔、CFE、CIA

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