HOME コラム一覧 暴かれたコンドミニアム不正:「気楽な」コンドミニアム生活に潜むリスク (その1 全4回)

暴かれたコンドミニアム不正:「気楽な」コンドミニアム生活に潜むリスク (その1 全4回)

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Condo Fraud Revealed Risks: Lurk behind ‘Carefree’ Condominium Living

 コンドミニアムオーナーの環境は不正の温床になることがある。多額の集金を管理する理事会はボランティアで構成され、その資金は、何も知らされない住人の利益の為に適切な運用がなされているとは限らないのだ。

 シルバーライン建設会社のオーナーであるレオン・ベンザ(Leon Benzer)は、自分が及ぼしていた影響力を気に入っていたようだ。彼は、何よりも現金を好んだ。2003年から2009年の間、ベンザは自分の会社と、共謀していた法律事務所に仕事を発注する為、不正にラスベガス地区の11のコンドミニアム管理組合(condominium homeowners’ associations, HOAs)を不当に支配下に置いた。
 連邦政府の起訴状によれば、ベンザと数人の仲間は、不正な工事が持ち込めそうな管理組合理事会を特定した。そして、不動産業者に協力を求め、幾つかの管理組合コミュニティで売りに出ているコンドミニアムを見つけていったという。裁判文書によると、ベンザと多くの共謀者は、コンドミニアムを購入するための名前と信用を使う「偽の購入者」を引き入れている。(起訴状参照: http://tinyurl.com/ozgfe4r )
 米国司法省(DOJ)の文書では、少なくとも37のケースにおいて、ベンザと共謀者達は、偽の購入者に代わって頭金と、管理組合費や住宅ローンを含む月々の支払を行った。また、融資を受けるため、様々な錯誤を招く偽の文書が作成された。さらに、不動産を管理する為、少なくとも5つの銀行口座を開設し、800万ドル以上の資金を動かしていた。結果的に、37物件のうち33件は、差押えられたという。(参照:http://tinyurl.com/oe7t39x)
 ベンザの共謀者は、彼の指示のもと、他の共謀者が管理組合理事に立候補できるオーナーであると見せかけるため、コンドミニアムの一部の所有権を移転した。そして、偽造された不正投票によりいくつかの選挙で当選した。
ベンザとその仲間は共謀していた理事に指示し、ベンザの建設会社や共謀した法律事務所を含む、資産管理者、請負業者、顧問弁護士、理事会の代理人を務める弁護士の選任投票を操作させた。
 2013年1月15日、首謀者ベンザを含む11名が17の事案で告発された。
 ベンザと仲間は違法な取引で数百万ドルの利益を上げていた。また起訴状によれば、彼らは他の被告人に対して、共謀において果たしたとされる役割に対して金品を渡していた。
 今年の2月24日、司法取引によりベンザは郵便・通信詐欺及び脱税の共謀に対して有罪を認めている。報道された時点では、彼の判決は8月3日に予定され、残りの被告人に対する裁判は続いた。ラスベガス ・レビュー・ジャーナル紙のジェフ・ガーマン(Jeff German)による1月23日の記事「ベンザ、巨額ラスベガスコンドミニアム管理組合不正スキームの有罪を認める」“Benzer pleads guilty in massive Las Vegas Valley HOA scheme,” (http://tinyurl.com/kmdpm2u)は、2011年8月以来全部で36人の被告が有罪を認め、ほとんどが協力的で、判決を待つ状態であると報じている。検察側は、この乗っ取り詐欺にあった管理組合に対する2,500万ドル近い損害賠償と貸し付けを求めている。
 さて、これは管理組合不正の極端なケースではある。しかし、どのようなコンドミニアム管理組合においても同様のリスクは存在する。ここでは、この不正を誘発しやすい環境において、管理組合がいかにして犯罪を防ぐことができるかを論じたい。

コンドミニアム生活の魅力 (Appeal of condominium living)

 定年退職する年齢に近くなった多くの人は、戸建ての持ち家を売却し「気楽な」コンドミニアムや集合住宅のライフスタイルへ移行することを考えている。一方で、コンドミニアムを所有することは一戸建て住宅とは全く異なることを認識していないかもしれない。
 コンドミニアムは、実際にはその組合が土地と建物を所有し、保守や修繕を取り仕切る。例えば、管理組合は、通常建物の塗装工事や庭仕事の多くに責任を持つ。
 コンドミニアムオーナーは、組合のわずかな持ち分を持ち、管理組合に提出された事案に対する投票権を持つ。自分の区分の使用権と内部の修繕や改良の責任、さらにフェンスで囲われた裏庭や中庭のメンテナンスの責任も含むこともままある。

(その2に続く)
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初出:FRAUDマガジン45号(2015年8月1日発行)

この記事の執筆者

Linda Lee Larson, D.B.A., CFE, CPA
退任した会計学准教授である。
Eメール:LLLarson99@comcast.net


※執筆者の所属等は本記事の初出時のものである。

翻訳協力者:田邉 慶周、CFE、CIA

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2017.12.04 10:21:01