HOME コラム一覧 神の恵みは我のもの なぜ、礼拝所は不正行為の犠牲者になるのか(その3 全4回)

神の恵みは我のもの なぜ、礼拝所は不正行為の犠牲者になるのか(その3 全4回)

コンプライアンス その他
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信徒の学び(Congregations can learn)

 これらの不正を防ぐのに最も良い解決策は、喜んで協力してくれる公認不正検査士(CFE)を探して不正の予防と抑止に力を借りることだ。また、読者であるCFEにとってもボランティアとして礼拝所で専門的スキルを発揮する良い機会となる。それ以外の方法としては、中小規模の教会では、信徒監査委員会(lay audit committee)を組織して訓練し、年に1回、取引を精査すべきである。大規模な集会や巨大教会では、教会や宗教法人専門の外部の会計監査法人を雇い、独立性のある 財務諸表監査や意見の精査を行うべきだ。信徒監査委員会は少なくとも3人以上のメンバーが必要で、その中の一人は会計の経験者であるべきだ。委員会のメンバーは、監査の対象となる期間は、現預金、集金や支払業務を行うことができない。
 信徒監査委員会は横領の可能性を発見するため、あらゆる銀行取引明細書、支払済み小切手、預金伝票、アッシャーによる日曜礼拝の現金・小切手報告書、預金口座、財政投資、銀行勘定調整表などを全て注意深くチェックするべきだ。これらの書類の精査により、献金、申し出を受けた寄付金の入金(pledge payments)、使途の決まった預金(designated fund) 等の現金の動きを追跡することが出来る。また、支払金額とその根拠証憑、承認手続き、重要な取引を選定する基準をチェックする際には、支払い金額の領収書、請求書の両方を確認する必要がある。
 その他の手続きには、保険の補償範囲や総勘定元帳と財務諸表に反映される取引を見直すことも含まれる。信徒監査委員会は、それらの報告書を財務監視委員会、教会委員会、信徒のそれぞれに、また、要請があれば、教団上層部(denominational ecclesiastical authorities)に報告するべきである。
 財務委員会は以下のような職務分掌を導入するべきである。
 ・アッシャーの活動を監視すること
 ・小切手の振り出しには2名以上のサインを必須とすること
 ・現金を数えるときは3名以上で行い、1名がカウントし、他の2名はそれを確認すること
 ・納入業者からの支払の請求書、銀行の出入金明細、総勘定元帳を確認すること
財務諸表監査を行う独立監査人を雇用している礼拝所であっても、このような手法を導入すべきである。
 また、信徒数の大小に関わらず、どの礼拝所でも職務を精査し、考案された手続きを確実に実施するための階層的な監視が必要である。最高指導者である牧師や監査委員会、あるいはその両者はその導入の程度や職務分掌についての所見を財務委員会そして最終的には役員会に報告しなければならない。これらの所見は有給職員とボランティア の両方を対象とすべきである。

偉大な力を信頼しても、備えは万全に(Trust in higher power, but cover your bases)

 私は周囲から信頼されている職員やボランティアの不正によって、荒廃させられた教会を私は多数見てきた。礼拝所がデュー・デリジェンスを行って、不正の防止や抑止の措置を取れば、集められた献金は神の御業(みわざ)のために使われ、犯罪者のポケットに入ることはなくなるだろう。

(その4に続く)
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初出:FRAUDマガジン46号(2015年10月1日発行)

この記事の執筆者

Stanley F. Seat, D.Min., J.D., CFE, CPA
テキサス大学(アーリントン)の事業法と税法の客員教授である。
教会における不正とフォレンジックを専門とし、ナザレ教会(the Church of the Nazarene)で聖職を授けられた。テキサス州とルイジアナ州のCPA資格を持つ。

翻訳協力:佐藤 恭代 CFE、CIA、CPA(ワシントン州)
※執筆者の所属、翻訳協力者の保有資格等は本記事の初出時のものである。

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 これらの不正を防ぐのに最も良い解決策は、喜んで協力してくれる公認不正検査士(CFE)を探して不正の予防と抑止に力を借りることだ。また、読者であるCFEにとってもボランティアとして礼拝所で専門的スキルを発揮する良い機会となる。それ以外の方法としては、中小規模の教会では、信徒監査委員会(lay audit committee)を組織して訓練し、年に1回、取引を精査すべきである。大規模な集会や巨大教会では、教会や宗教法人専門の外部の会計監査法人を雇い、独立性のある 財務諸表監査や意見の精査を行うべきだ。信徒監査委員会は少なくとも3人以上のメンバーが必要で、その中の一人は会計の経験者であるべきだ。委員会のメンバーは、監査の対象となる期間は、現預金、集金や支払業務を行うことができない。 信徒監査委員会は横領の可能性を発見するため、あらゆる銀行取引明細書、支払済み小切手、預金伝票、アッシャーによる日曜礼拝の現金・小切手報告書、預金口座、財政投資、銀行勘定調整表などを全て注意深くチェックするべきだ。これらの書類の精査により、献金、申し出を受けた寄付金の入金(pledge payments)、使途の決まった預金(designated fund) 等の現金の動きを追跡することが出来る。また、支払金額とその根拠証憑、承認手続き、重要な取引を選定する基準をチェックする際には、支払い金額の領収書、請求書の両方を確認する必要がある。 その他の手続きには、保険の補償範囲や総勘定元帳と財務諸表に反映される取引を見直すことも含まれる。信徒監査委員会は、それらの報告書を財務監視委員会、教会委員会、信徒のそれぞれに、また、要請があれば、教団上層部(denominational ecclesiastical authorities)に報告するべきである。 財務委員会は以下のような職務分掌を導入するべきである。 ・アッシャーの活動を監視すること ・小切手の振り出しには2名以上のサインを必須とすること ・現金を数えるときは3名以上で行い、1名がカウントし、他の2名はそれを確認すること ・納入業者からの支払の請求書、銀行の出入金明細、総勘定元帳を確認すること財務諸表監査を行う独立監査人を雇用している礼拝所であっても、このような手法を導入すべきである。 また、信徒数の大小に関わらず、どの礼拝所でも職務を精査し、考案された手続きを確実に実施するための階層的な監視が必要である。最高指導者である牧師や監査委員会、あるいはその両者はその導入の程度や職務分掌についての所見を財務委員会そして最終的には役員会に報告しなければならない。これらの所見は有給職員とボランティア の両方を対象とすべきである。
2018.04.16 09:09:20