88)御社にとって『適正な支払利息』は売上に対して何%?
創業時や新規ビジネスのスタート時、また新たな設備投資の実行に際し、資本金や手元資金だけでは資金が足りない場合、「金融機関」や「投資家」から調達することになります。その調達時に発生する「金利」や「配当金」を資金の調達コストと考えますが、そのコストの適正性を確認する指標が、本日のテーマである『売上高支払利息率』です。
「御社は、資金調達コストを売上の何%以内だと考えていますか?」という問いに答えられる経営者や財務担当者は少ないと思います。何故なら、現実的には金利は多くの場合、金融機関の提案によって決定されますし、配当金は結果利益の配当であり、目標配当を設定している中小企業が少ないからで、意図的にコントロールされていないからです。
では、自社の適正な調達コストはどう考えて設定すればいいのでしょうか?
例えば、御社のビジネスモデルを精査した際、以前説明した売上高営業利益率が5%だったとします。つまり、貴方の思いついた新規ビジネスは年利5%です。このビジネスモデルを実現するために資金を調達するわけですが、その調達コスト(金利)が売上に対して5%を超えてしまっては意味がありません。もっと言えば、4%でも駄目です。何故なら5%分の利益から「税金」や「未来への留保」更には「株主への配当」へと振り分けなければならないからです。
つまり、売上高営業利益は「税金」「留保」「配当」「金利」に分解されます。その観点から、資金調達コストが売上高営業利益率の4分の1を下回るように組み立てを行い、必要資金から逆算することで調達時の金利を設定すると考えれば、自社の負担可能利息が具体化されます(当然低ければ低いほどよく、目指すべきは0であることは言うまでもありません)。
資金調達のコストである金利や配当は、担保余力や保有資産等で判断されるものではなく、そのビジネスモデルの可能性によって評価、設定される必要がありますが、特に銀行借入では銀行からの提案で一方的に決定されているケースがほとんどです。それでは会社を自身がリードしているとは言えません。さて、御社の金利は適正に設定されていますか?是非一度チェックしてみて下さい。