85)自社のビジネスモデルが社会に貢献しているか?を確認する指標②
フランスの三ツ星レストランで修行をしたシェフが、初期費用を全て銀行から調達し念願の一等地に自分のお店を持ちました。内装にはとくにこだわって、5千万円以上を投入しての船出です。
開店当初より大変な人気店となり、シェフもその忙しさに充実感を噛み締めながら、友人に紹介してもらった顧問税理士の「今月も業績は上々で、初年度から黒字決算になる」という報告に「それはそうだろう。税金は痛いけど、利益が出ていればこそだ」と納得しています。さて皆さん…、この報告は本当に本当なのでしょうか…?
詳しい話はおいておきますが、内装にかかった経費は「減価償却費」として少しずつ経費化します。税法では原則10年の均等償却です。顧問税理士は当然のように税法に基づいた年数で計算をします。となると年間の償却費は約500万円です。
このシェフは、近隣の競争激化もあり、毎年2千万円も利益が出ているのだから、少々奮発してもいいだろうと3年後に大幅改装を行います。狙い通り客足は伸びました!
ところが…、このお店はその後、借入を返すために借入をしなければならない事態に陥ってくのです。最終的に、黒字倒産という想定外の残念な事態を迎えてしまいます。
皆さんこのカラクリがわかりますか?ポイントは『減価償却費』です。はじめに内装に掛かった費用は、税法に基づいて年間500万円(10年)で償却します。しかし、実際には3年でやり替えたのですから、年間1,666万円(3年)を償却すべきです。すると毎年の利益2千万円は約900万円に減少します。その900万円から税金を支払って(税金は利益2,000万円に対して算出されます。税率が30%なら600万円です)、借入を返済したら、お店のお金は全く増えていないのです…。
改めて読んでいただいている皆様に考えていただきたいのは、御社の「営業利益」は現在いくら出ていますか?と言う問いに答えるなら、前提として、税法ではなく実態に基づいた減価償却費に入れ替えて営業利益を計算しなければ正しい数値は見えてこないということです。
今回のテーマである『営業利益率』は自社のビジネスモデルの社会貢献度を示す大切な指標です。但し、その為には正しい営業利益を算出することが前提です。さて、御社の営業利益率=社会貢献度は何%ですか?