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第29回 2022年度の事業再構築・ものづくり・IT導入・持続化補助金はどうなりますか?

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 2021年11月26日(金)、中小企業庁の令和3年度補正予算案が公開されました。その予算案には2022年度の事業再構築補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金に関する最新情報が記載されています。2022年度は特別枠の新設や補助額アップ等の変更がされるとのことです。そこで今回は2022年度の補助金の変更点についてご紹介します!

事業再構築補助金

 事業再構築補助金は売上が減少した事業者が新しい事業を始める際の取組を支援する補助金です。
 売上減少の基準は、「任意の3カ月の合計売上高が前年・前々年の同期間と比べて5%以上減少していること」でしたが、2022年度から「(2020年4月以降の連続する6カ月のうち)任意の3カ月の合計売上高が、前年・前々年同期比10%以上減少していること」に変更されます。尚、複数事業者が連携する場合は売上高減少分を合算できるとのことです。
 特別枠については、「通常枠(最大8000万円)」・「最低賃金枠(最大1500万円)」・「大規模賃金引上げ枠(最大1億円)」の他に、新たに「回復・再生応援枠」と「グリーン成長枠」が設けられます。また、「緊急事態宣言特別枠(最大1500万円)」が撤廃されています。
 「回復・再生応援枠」は業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を支援する特別枠です。詳細はまだ出ていませんが、2022年度に撤廃される「緊急事態宣言特別枠」と類似した内容になると想定されます。つまり「売上高が前年・前々年同期比30%以上減少している事業者」を対象にすると考えられます。上限額は1500万円、補助率は中小企業3/4、中堅企業2/3となります。
 「グリーン成長枠」は政府が定めたグリーン成長戦略「実行計画」14分野(洋上風力、原子力、電動車、資源循環、住宅・建築など)に係る課題解決に資する取組を行う事業者を支援する特別枠です。近年のSEGや地球温暖化対策に対する意識の高まりを受けて、政府は「グリーン化」を重点施策の1つとして掲げており、上限額も中小企業1億円(補助率1/2)、中堅企業1.5億円(補助率1/3)と高額で設定されています。また、この特別枠のみ売上減少要件が撤廃されています。

ものづくり補助金

 ものづくり補助金は革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に係る取組を支援する補助金です。
 「通常枠」の上限額は1000万円でしたが、2022年度から1250万円にアップします。また、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」が新設されます。
 「回復型賃上げ・雇用拡大枠」は赤字が続くなど業況が厳しい事業者を対象として、賃金アップ・雇用拡大を支援する特別枠です。優先的に採択することが明記されており、事業再構築補助金の「最低賃金枠」と類似した内容になると想定されます。上限額は1250万円、補助率は2/3となります。
 「デジタル枠」はその名の通りデジタル化に係る取組を支援する特別枠となります。デジタル庁が創設されるなど政府はグリーン化と同様にデジタル化施策も積極的に推進しています。上限額は1250万円、補助率は2/3となります。
 「グリーン枠」は上述の事業再構築補助金「グリーン成長枠」と同様、グリーン分野の取組を支援します。上限額は2000万円(補助率2/3)となり、枠の中では最大規模となります。

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金は小規模事業者による販路開拓にかかる費用全般を支援する補助金です。通常枠は上限50万円・補助率2/3ですが、新たに設けられる特別枠では上限額・補助率がアップします。
 赤字が続き業況が厳しい事業者が賃上げ・事業規模拡大に取り組んだ場合の費用を補助する「成長・分配強化枠」という特別枠は上限額が200万円となります。また、条件に合致する赤字事業者の場合、補助率3/4にアップするとのことです。
 「新陳代謝枠」は創業者や事業承継者が行う新しい取組を支援する特別枠です。近年問題視されている中小企業・小規模事業者の後継者不足を念頭に置いています。上限額は200万円となります。
 小規模事業者がインボイス発行事業者に転換する際の取組を支援する「インボイス枠」も設けられます。「インボイス制度」とは「適格請求書保存方式」のことを指します。どの商品が軽減税率と標準税率のどちらに適用されるか等を明確にすることができ、正確な経理処理が可能になります。インボイス制度は2023年10月から開始しますが、それまでの準備を促すために、「インボイス枠」が創設されました。上限額は200万円となります。

IT導入補助金

 IT導入補助金は生産性向上や業務改善に資するITツール全般の導入を支援する補助金です。
 原則ソフトウェアが対象でしたが、2022年度からPCやタブレット、レジ等のハードウェアも対象になります。また、インボイス制度への対応を目的としたITツール導入を特に支援するとのことです。
 補助額や補助率は購入する経費によって異なります。ITツールの場合、補助額が50万円までであれば補助率が3/4、補助額が350万円までであれば補助率が2/3となります。PC、タブレット等の場合は上限10万円、補助率1/2となります。レジ等の場合は上限20万円、補助率1/2となります。

 今回ご紹介した情報はあくまで「予算案」の内容であり、補正予算成立後、内容が変更される場合もあります。しかし、大幅に要件を変更する可能性は低いため、2022年度の補助金申請を検討している方は今のうちに導入する経費を決めておくことをおすすめします。

補助金 主な変更点

事業再構築

補助金

(1)売上減少要件が「前年・前々年同期比10%以上減少していること」に変更 (2)「回復・再生応援枠」と「グリーン成長枠」が新設

ものづくり

補助金

(1)「通常枠」の上限額が1250万円にアップ (2)「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」が新設

小規模事業者

持続化補助金

(1)「成長・分配強化枠」、「新陳代謝枠」、「インボイス枠」が新設
IT導入補助金 (1)PCやタブレット、レジ等のハードウェアも対象

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
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2021.12.06 17:53:25