HOME コラム一覧 第26回 労働能率向上に役立つ機器全般が対象!「働き方改革推進支援助成金」の人気3コースとは?

第26回 労働能率向上に役立つ機器全般が対象!「働き方改革推進支援助成金」の人気3コースとは?

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2021年4月1日、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」の公募が開始しました。時間外労働削減等の働き方改革に資する取組であれば幅広い経費が対象になる大人気の助成金です。勤務間インターバル(終業から始業までの間に一定の休息時間を設けること)導入を支援する「勤務間インターバルコース」や、時間外労働の削減や年休取得を支援する「労働時間短縮・年休促進支援コース」がありますが、今年度から新たに「労働時間適正管理推進コース」が追加されました。
今回はこの勤務間インターバルコース、労働時間短縮・年休促進支援コース、労働時間適正管理推進コースについて解説します!
申請の流れは全コース共通しています。まず交付申請書や事業実施計画書等の書類を労働局に2021年11月30日までに提出します。交付決定を受けた後、提出した計画に沿った取組を2022年1月31日までに実施し、2022年2月10日までに支給申請を行います。
また、支給対象となる取組も共通しており、以下9つとなります。「1労務管理担当者研修」「2労働者への研修、周知・啓発」「3社会保険労務士、中小企業診断士等専門家によるコンサルティング」「4就業規則・労使協定等の作成・変更」「5人材確保に向けた取組」「6労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「7労務管理用機器の導入・更新」「8デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新」「9労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」です。特に「9労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」は時間外労働削減に資することを説明できれば、複合機、会計ソフト、キャッシュレス決済等幅広い経費が対象になります。尚、パソコン、タブレット、スマートフォンは対象外となります。
この9つの取組の1つ以上を実施して時間外労働を削減した後、「成果目標」を達成する必要があります。「成果目標」は各コースで異なります。勤務間インターバルコースは「9時間以上の勤務間インターバルを導入する」等、労働時間短縮・年休促進支援コースは「時間外・休日労働時間数を月60時間以下に設定する」等、労働時間適正管理推進コースは「労務管理書類の保存期間を5年にすることを就業規則等に規定する」等です。尚、申請前時点で「成果目標」を達成している、つまりインターバルを9時間以上導入していたり、労務管理書類の保存期間を5年にしていたりする企業は申請できないため注意してください。
上記のような取組を交付決定日から2022年1月31日までに行わなければなりません。
補助率はどのコースも原則4分の3となります。尚、常時使用の労働者数が30名以下であり、且つ上記支給対象の取組6~9を実施する場合であり、且つその所要額が30万円を超える場合、補助率は5分の4にアップします。
また、支給額はインターバルコースが最大100万円、労働時間短縮コースが最大200万円、労働時間適正管理推進コースが最大50万円となります。
尚、どのコースも対象事業場の一定数の労働者の賃金額を3%または5%以上引き上げた場合、一定の金額が加算されます。最も金額が低いケースは労働者1~3人の賃金を3%以上引き上げるケースであり、15万円が加算されます。また最も金額が高いケースでは、労働者11~30人の賃金を5%以上引き上げると、1人当たり8万円が加算されます(最大240万円)。
交付申請は2021年11月30日までですが、働き方改革推進支援助成金は例年大変人気があるため、早々に予算が尽き公募終了となる可能性があります。申請を検討している方は早めの対応を心がけましょう。
続いて、働き方改革推進支援助成金の全コースについて、特に注意すべき点またはよくある質問をご紹介します。

(1)年5日の有休休暇取得について

対象者の条件ですが「全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。」という要件を満たさなければなりません。2019年4月労働基準法が改正され、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日を取得させることが義務となりました。しかしまだその内容を就業規則等に盛り込んでいない事業者も少なくありません。申請前に、年5日の年次有給休暇取得を導入しているか確認しましょう。

(2)見積について

働き方改革推進支援等助成金では、取組にかかる経費について原則2社以上から見積を提出しなければなりません。その経費が適正な価格か確認するためです。
特別な事情がない限り、安い方の見積が採用されます。そのため、希望している方の見積を安くする必要があります。また、経費についても原則同じ製品・サービスか、もしくは同等の機能を持っている製品・サービスでなければなりません。見積のハンコも社員個人ではなく社印にすることも必須となります。

(3)労務関係の取組について

働き方改革推進支援等助成金では、取組にかかる経費を購入するだけではなく、勤務間インターバルや労務管理書類の保存期間延長等に際して必要な労務関係の取組も行う必要があります。つまり、「労働時間等について労使で話し合う機会を設ける」「労働時間等に関する意見や要望を受け付ける担当者の選任」「労働者に対する事業実施計画の周知」「事業実施計画について労働者の意見を聞く」「勤務間インターバル等を就業規則や労使協定に盛り込み、労働局へ届け出る」と言った取組です。これらの取組も事業実施期間中に行う必要があるため、忘れずに実施しましょう。
各取組についてどのように行うか不明な場合は社会保険労務士等の専門家に聞いてみましょう。

働き方改革推進支援助成金
コース 勤務間インターバルコース  労働時間短縮・年休促進支援コース  労働時間適正管理推進コース
スケジュール

交付申請:2021年11月30日まで

事業実施:2022年1月31日まで

支給申請:2022年2月10日まで

支給対象となる取組

「1労務管理担当者研修」「2労働者への研修、周知・啓発」

「3社会保険労務士、中小企業診断士等専門家によるコンサルティング」

「4就業規則・労使協定等の作成・変更」「5人材確保に向けた取組」

「6労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「7労務管理用機器の導入・更新」

「8デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新」

「9労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」

成果目標 「9時間以上の勤務間インターバルを導入する」等 「時間外・休日労働時間数を月60時間以下に設定する」等 「労務管理書類の保存期間を5年にすることを就業規則等に規定する」等
上限額 最大100万円 最大100万円 最大50万円
補助率 原則4分の3

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
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2021.05.20 17:01:31