HOME コラム一覧 第25回 商工会や社団等の所属企業の生産性向上をサポート!働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)とは?

第25回 商工会や社団等の所属企業の生産性向上をサポート!働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)とは?

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厚生労働省では、労働者の時間外労働時間削減に資する取組を支援する働き方改革推進支援等助成金が公募されています。その中でも、団体推進コースは商工会、商工会議所、一般社団法人等の事業主団体や複数の企業で構成される共同事業主が、構成員である事業主に所属する労働者の労働環境改善のために行う取組を支援するものです。その取組に合致すれば、複合機や会計ソフト等幅広い経費が対象となります。
今回はこの働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)について解説します!
まず事業主団体の定義ですが、「3者以上で構成され、且つ1年以上の活動実績があり、且つ構成事業主の労働者が合計10人以上の事業主団体」とされています。また、共同事業主の場合、「10者以上で構成され、且つ1年以上の活動実績があり、且つすべての構成事業主の合意に基づく協定を締結していること」が要件となります。尚、事業主団体も共同事業主も労働者災害補償保険が適用されており、且つ中小企業事業主の占める割合が、構成事業主全体の2分の1を超えていなければなりません。
支給対象となる取組については、以下のいずれか1つ以上を実施する必要があります。すなわち、「1.市場調査の事業」「2.新ビジネスモデル開発、実験の事業」「3.材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業」「4.下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業」「5.販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業」「6.好事例の収集、普及啓発の事業」「7.セミナーの開催等の事業」「8.巡回指導、相談窓口設置等の事業」「9.構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業」「10.人材確保に向けた取組の事業」です。
これらの取組は構成事業主の労働者のために行われるものでなければなりません。たとえば、「構成員の業務効率化のためにRPAを導入し、操作説明会を開いた」「会員企業の生産効率性を高めるために、共同で利用できる高性能複合機を設置した」「構成事業主の労働者の労働時間短縮・生産性向上のために、会計ソフトの貸し出しを開始した」等が該当するケースとなります。一方、「商工会の従業員の生産性向上のために会計ソフトを導入した」等団体自体の業務効率化・生産性向上に資する取組は該当しない可能性があります。
また、支給対象となる取組を通じて、指定の成果目標を達成しなければなりません。成果目標とは、取組を通じて構成事業主の労働者の労働環境改善を図り、それを好事例集としてHPへの掲載やチラシ送付等を通じて構成事業主に周知し、活用できる状態にすることを指します。この成果目標は交付決定日から2022年2月17日(木)までに達成させる必要があります。
助成金は支給対象となる取組にかかった経費に応じて、最大500万円が支給されます。助成率は100%です。尚、都道府県単位または複数の都道府県単位であり、且つ10者以上で構成される事業主団体等の場合、上限額は1000万円にアップします。また、「試作品を試験的に販売する」等のケースで収入が発生した場合、その収入分が総事業費から控除されます。
申請の流れですが、取組を始める前に交付申請をする必要があります。交付申請では、構成事業主全体で現状どのような課題があり、その取組を行うことでなぜ課題解決につながるのかを、数字や客観的根拠を以てわかりやすく説明する必要があります。
また、定款・会則等1年以上の活動実績がわかる書類、直近2年間の収支計算書等の提出も求められます。特に購入予定の機材や設備に関する見積書の提出については注意が必要です。1件当たり10万円以上かかるものについては、適正な価格か判断するために、相見積の取得を求められます。相見積は原則金額が低い方が採用されます。
交付申請の締切は2021年11月30日(火)ですが、予算が尽き次第公募終了となるため、早めに申請することをおすすめします。
交付申請が採択された場合、2022年2月17日(木)までに支給対象となる取組及び成果目標の達成を完了させなければなりません。そして、事業実施が終了した日から起算して30日後か、または2022年2月28日(月)のいずれか早い日までに支給申請を行います。
支給申請では、請求書や作業日報等取組にかかった費用を確認できる書類の他、納品書や写真等対象経費となる機材や設備を導入したことがわかる書類等の提出を求められます。
この手続きが完了すると、ようやく助成金が支給されます。尚、助成金申請は「jGrants」という補助金電子申請システムを用いて行うこともできます。
働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)は「構成事業主の労働者の労働環境改善」という建付けであれば非常に幅広い経費が対象になります。所属する企業のために設備導入を行いたい事業主団体や共同授業主の方は是非申請を検討してみてください!

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
対象者

3者以上で構成され、且つ1年以上の活動実績があり、且つ構成事業主の労働者が合計10人以上の事業主団体

10者以上で構成され、且つ1年以上の活動実績があり、且つすべての構成事業主の合意に基づく協定を締結している共同事業主

支給対象となる取組

「1.市場調査の事業」

「2.新ビジネスモデル開発、実験の事業」

「3.材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業」

「4.下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業」

「5.販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業」

「6.好事例の収集、普及啓発の事業」

「7.セミナーの開催等の事業」

「8.巡回指導、相談窓口設置等の事業」

「9.構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業」

「10.人材確保に向けた取組の事業」

支給額

原則上限500万円

助成率100%

※都道府県単位または複数の都道府県単位であり、且つ10者以上で構成される事業主団体等の場合、上限額1000万円にアップ

締切

交付申請:2021年11月30日(火)

事業実施:2022年2月17日(木)

支給申請:2022年2月28日(月)

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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2021.05.14 16:17:54