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第24回 IT導入補助金に採択されるために押さえるべきポイントとは?

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IT導入補助金は申請すれば必ず採択されるわけではありません。提出した申請書類の出来によっては落とされる可能性があります。単に手順に従って申請手続きをするだけではなく、自社がなぜITツールを導入しなければならないか審査員に積極的にアピールする必要があります。
そこで今回はIT導入補助金に採択されるためのポイントを解説します!
まず採択されるために最低限必要なことは必須書類を揃えたり、書類の形式を整えたりすることです。
IT導入補助金は原則電子申請であり、自由記述欄も提出書類も少ないため、誤字脱字等の入力ミスは特に目立ちます。入力ミスは大きく減点されるため、不備がないか何度も確かめてください。
また、提出書類である履歴事項全部証明書に書かれた会社名と申請時に記載した会社名が一致していない等のミスもよく見られます。提出書類と申請時に記載した情報に整合性があるか確認してください。
さらに労働生産性向上率及び賃上げ率等の計算も正確に行わなければいけません。IT導入補助金では、「労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の数値目標を作成する」という労働生産性向上要件と、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加、及び事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」という賃上げ要件があり、これらの計算を正確に行うとともに、計算のもととなる数値のエビデンスを提示する必要もあります。
上記の前提を踏まえてようやくIT導入補助金を申請できる段階に入ります。
次に、そもそもIT導入補助金を申請する意欲があるのかをアピールする必要があります。IT導入補助金では、選択肢を選択する項目が複数ありますが、「経営理念は持ってない」「経営意欲は特にない」「セキュリティ対策は行ってない」等、生産性向上や業務のIT化に対する意欲を感じられない選択肢を選択してはいけません。経営理念がわからないなら明確にし、セキュリティ対策をやっていないなら今後やる予定を入れた上で選択しましょう。
また、各項目には選択肢の他にフリー記述欄もあります。IT補助金では補助金の必要性をアピールできる事業計画の提出ができないため、フリー記入欄で導入の必要性をアピールすることをおすすめします。
続いて自社の現状の強み・弱みを洗い出し、課題を設定する必要があります。「強みを強化するにはどうしたらいいのか」「弱みの克服は可能か」を分析し、他の項目で入力した内容と整合性を持たせた上で記載します。記述した弱みと導入したいITツールが、課題と解決法という対応関係にあることを確認してください。ITツールと得られる効果の因果関係がわかりやすく示されていることも重要です。
課題を明確にした後は、課題の解決方法として導入すべきITツールを明確にします。「ITツールで課題の解決は可能か」「ITツールを導入した後で自社の強み・弱みがどのように変化するのか」を分析します。そして、事業内容を紹介しながら経営課題を記述し、その解決方法としてIT化が必要であることを明記します。その上で、課題解決のためにどのようなITツールを入れるのかを説明します。さらに、そのITツールによってどのような効果が得られるかにも言及しましょう。
以上のポイントをきちんと説明できれば、採択される可能性は非常にアップします。たとえば、ある小売業では取引先の多さや料金の安さが売り(強み)ですが、在庫と会計が連携していないため(現状)、取引先で即決ができず経営判断が遅れ気味になっています(弱み)。そのため、在庫と会計を連動させ、及び顧客先でも社内状況がわかるようにするため(課題)、受発注・在庫・会計の連動ソフトとSFAを導入しました(課題解決)。これによって、取引先で即断即決ができるようになり売上がアップし、無駄な残業も大幅に削減できました(効果)。この例のようなストーリーをしっかり練りこんでおけば、問題なく入力を進めることができます。
また近年では、新型コロナウイルス感染症の影響から、テレワークや業務の非対面化に使えるITツールの申請が特に採択されやすい傾向にあります。加えて、RPAやAIのような最新技術の導入による業務効率化も評価されやすいです。「従業員のテレワークを促進するため、RPAでデスクワークを自動化する」というように最新技術とコロナ対策を絡めた形で申請に臨めば採択率はさらにアップするでしょう。
今回ご紹介したことを実践すれば必ず採択されるというわけではありませんが、何の対策もしないよりは遥かにマシです。また仮に審査に落ちたとしても、さらにブラッシュアップして次回のIT導入補助金に臨んだり、他の補助金に転用したりできます。万全の準備をしてIT導入補助金の申請にチャレンジしましょう!

IT導入補助金に採択されるポイント
書類チェック 誤字脱字等の入力ミスに注意する
提出書類と申請時に記載した情報に整合性があるか確認
労働生産性向上率及び賃上げ率等の計算を正確に行う
意欲のアピール 生産性向上や業務のIT化に対する意欲を感じられない選択肢を選択しない
フリー記入欄で導入の必要性をアピール
自社の現状の強み・弱みを洗い出す 記述した弱みと導入したいITツールが、課題と解決法という対応関係にあることを確認
ITツールの選定 課題解決のためにどのようなITツールを入れるのかを明記する
そのITツールによってどのような効果が得られるかにも言及する
プラスα テレワークや業務の非対面化に使えるITツールを選ぶ
RPAやAIのような最新技術を導入する

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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2021.04.16 16:07:10