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裁判所から通知がきたが、居留守を使って受け取らずに無視し続けたらどうなるか

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 一般的に、訴訟になる以前には、当事者間で話し合いが行われることと思います。例えば、お金を貸したものの返してもらえない場合、貸主は借主との間で、分割返済やその場合の金額、返済期間等、返済についての話し合いを行います。そして、相手方が全く話し合いに応じなかったり、話し合いの内容に納得できなかったりした場合、貸主は訴訟の提起を検討することになります。
 貸主は、訴訟提起に先立ち、相手方へ書面で返済を求めることもあります。それでも、借主が貸主からの書面を無視し続けた場合は、結果的に、借主はお金を返さずに逃げ続けることになります。
 では、貸主が訴訟を提起した場合にはどうなるでしょう。同じように、借主が裁判所からの呼び出しを無視し続けた場合も、お金を返さずに逃げ続けることができるでしょうか。
 訴訟を提起した場合、裁判所は被告に対して訴状を郵送します。この郵便による送達は、特別送達と称され、受け取りが拒否できません。借主は、郵便局員に応じないよう居留守を使って受け取らないこともあります。不在連絡票も無視して受け取らない場合、次は書留郵便に付する送達が行われます。この送達は付郵便送達と呼ばれ、送達の効果は郵便の発送をもって生じたものとみなされます。つまり、発送された時点で、送達されたものと扱われます。
 これにより、裁判所は、訴状が被告に送達されたとして審理を開始します。訴状の受け取りに応じないような被告ですから、答弁書も提出せず、期日に欠席することと思われます。そうなると、裁判所は、被告が原告の言い分を争わないものとして、原告の請求を全て認める請求認容判決を言い渡すことができます。
 このように、裁判所からの呼び出しを無視し続けた場合、相手方の言い分を認める内容の判決が言い渡されることとなります。裁判所からの通知が届いた場合、すぐに弁護士にご相談し、適切に対応する必要があります。

執筆者情報

弁護士 日髙 太一

弁護士法人ALAW&GOODLOOP

会計事務所向け法律顧問
会計事務所向けセミナー

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 一般的に、訴訟になる以前には、当事者間で話し合いが行われることと思います。例えば、お金を貸したものの返してもらえない場合、貸主は借主との間で、分割返済やその場合の金額、返済期間等、返済についての話し合いを行います。そして、相手方が全く話し合いに応じなかったり、話し合いの内容に納得できなかったりした場合、貸主は訴訟の提起を検討することになります。 貸主は、訴訟提起に先立ち、相手方へ書面で返済を求めることもあります。それでも、借主が貸主からの書面を無視し続けた場合は、結果的に、借主はお金を返さずに逃げ続けることになります。 では、貸主が訴訟を提起した場合にはどうなるでしょう。同じように、借主が裁判所からの呼び出しを無視し続けた場合も、お金を返さずに逃げ続けることができるでしょうか。 訴訟を提起した場合、裁判所は被告に対して訴状を郵送します。この郵便による送達は、特別送達と称され、受け取りが拒否できません。借主は、郵便局員に応じないよう居留守を使って受け取らないこともあります。不在連絡票も無視して受け取らない場合、次は書留郵便に付する送達が行われます。この送達は付郵便送達と呼ばれ、送達の効果は郵便の発送をもって生じたものとみなされます。つまり、発送された時点で、送達されたものと扱われます。 これにより、裁判所は、訴状が被告に送達されたとして審理を開始します。訴状の受け取りに応じないような被告ですから、答弁書も提出せず、期日に欠席することと思われます。そうなると、裁判所は、被告が原告の言い分を争わないものとして、原告の請求を全て認める請求認容判決を言い渡すことができます。 このように、裁判所からの呼び出しを無視し続けた場合、相手方の言い分を認める内容の判決が言い渡されることとなります。裁判所からの通知が届いた場合、すぐに弁護士にご相談し、適切に対応する必要があります。
2019.03.26 15:59:17