金融庁、記述情報の開示に関する原則の公開草案を公表
金融庁は12月21日、記述情報の開示に関する原則(案)を公表した。これは、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(2018年6月28日公表)の提言を受け、企業が投資家との対話に資するためにルールへの形式的な対応にとどまらない充実した開示を行えるよう、経営目線で経営方針・経営戦略等、経営成績等の分析といったMD&A情報やリスク情報等を開示していく上でのガイダンスとなっている。
記述情報の開示に関する原則(案)は、総論と各論の二部構成となっている。まず総論には「取締役会や経営会議の議論の適切な反映」「重要(マテリアリティ)な情報の開示」「分かりやすい開示」といった総論が記されている。なかでも、「取締役会や経営会議において、
・ 企業の経営資源の最大限の活用に向け、成長投資・手許資金・株主還元や資本コストに関し、どのような議論が行われているか
・ これらの議論を踏まえて、どのような今後の経営の方向性が示されているか
が適切に開示に反映されることが重要と考えられる」といった記述は、取締役会や経営会議でそのような議論ができていない上場企業に対して間接的に議論の深化を求めているともいえ、実務への影響が大きく反響を呼びそうだ。
また、各論では、「経営方針・経営戦略等の記載」「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」「事業等のリスク」といった法令上開示が求められている事項ごとに、その開示の意図や位置付けを「考え方」に記載するとともに、「望ましい開示に向けた取組み」も示されている。
あわせて開示された「記述情報の開示に関する原則(案)のポイント」では「経営目線の議論の適切な反映」「重要性(マテリアリティ)」「資本コスト等に関する議論の反映」「セグメント情報の開示」「分かりやすさ」といった記述情報の開示に関する原則(案)の理解を助けるためのキーワードが記載されており、記述情報の開示に関する原則(案)と並べて一読しておきたい。
金融庁では2019年2月1日まで記述情報の開示に関する原則(案)に関してパブリックコメントを募集している。記述情報の開示に関する原則は、2019年3月期の有価証券報告書等からの適用の見込み。