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コンサルタント契約の注意点

法務
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弁護士の黒岩です。

突然ですが、これをお読みの経営者の皆さんは、コンサルタント契約をしたことはありますか。
経営者の方は、少なからずコンサルタントと称する方とお会いしたことがあるかと思います。
「コンサルタント」は、「ある事柄について助言・指導を行う専門家。相談役」とされています。
今回は、このコンサルタント契約の注意点について書かせていただきます。

 コンサルタント契約は、その名の通り、対価を支払って経営などに関する助言や指導を行ってもらう契約です。
 普遍的なサービスを受けるようなものではないため、ある程度包括的な内容で契約を交わします。当然、コンサルを行ってくれる相手を信用して契約を締結するものです。
 コンサルタント契約は、法的には準委任契約と解され、原則としていつでも契約の解除をすることができ(民法656条、651条1項)、その際には相手方に不利な時期でない限り、損害賠償をする必要はありません(同法651条2項)。※1

 ところが、コンサルタント契約によっては、一方的な解除ができない条項が設けられていたり、解除をしても契約の残存期間分の報酬を支払う契約内容になっていたりすることがあります。※2
 契約を締結する際には相手を全面的に信用していることが多いため、「信頼している相手が自分を騙すようなことをするはずがない」として、報酬を高額かつ不明瞭に設定する一方で、細かい条項などの確認が疎かになりがちです。
 そのほか、提供されるサービス内容も不明確なことがあり、何か違うと思ったときには、取り返しの付かない状態になっていることもままあります。

 いわゆるクーリングオフは事業者間の契約には適用がないため、クーリングオフを利用して契約を解除することはできません。

 サービスが提供されていないことや提供されたサービスが不十分であることを原因として契約の取消や解除をすることは考えられますが、コンサルタント契約は抽象的なサービスを提供するものであることが多いため、争いになった場合には、サービス提供がないことやサービスが不十分であることの証明は非常に困難です。
 そうすると、契約書の条件で違約金を支払うなどの必要が出てきてしまい、実効性のないサービスに思わぬ支払をすることになることもあります。
 そのほかによくあることとしては、口頭では契約をいつでも解除できるなどの話をしていたとしても、契約書に書かれていないことで、契約書どおりの条件に基づいた履行を求めてくるケースもあります。

 コンサルタント契約は、上手に使えば、広い視野や経験に基づくアドバイスを受けられるものです。しかし一方で、コンサルタントという明確な資格や能力を裏打ちする客観的な評価基準などがあるわけではないので、玉石混淆の状況にあるといえます。

 コンサルタントを依頼するときには、経営課題があるとか資金的な窮状があるなどのことが多く焦って契約をしてしまいがちですが、契約書を一度交わしてしまうと争うことが途端に難しくなるため、目の前の相手が本当に信用できるのか、報酬は適切か、提供を受けるサービス内容は何なのか等を、契約締結前に、慎重に検討されるようにしてください。※3
 契約書を示された場合には、どのようなリスクがあるのかを正確に把握するため、弁護士にチェックしてもらうことも有用です。


※1 いわゆる弁護士の顧問契約や委任契約は、特約で定められていない限り、いつでも解除することができるようになっていることが多いと思われます。

※2 コンサルタント契約の目的によっては長期間のサービス提供が必要になることもあり、コンサルタントのリスクによっては、契約の一方的な解除を制限することに合理性が認められる場合もあります。

※3 契約の締結を急かしてくる場合には、相応の問題がある可能性が高いです。

執筆者情報

弁護士 黒岩 英一

弁護士法人ALAW&GOODLOOP

会計事務所向け法律顧問
会計事務所向けセミナー

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弁護士の黒岩です。突然ですが、これをお読みの経営者の皆さんは、コンサルタント契約をしたことはありますか。経営者の方は、少なからずコンサルタントと称する方とお会いしたことがあるかと思います。「コンサルタント」は、「ある事柄について助言・指導を行う専門家。相談役」とされています。今回は、このコンサルタント契約の注意点について書かせていただきます。 コンサルタント契約は、その名の通り、対価を支払って経営などに関する助言や指導を行ってもらう契約です。 普遍的なサービスを受けるようなものではないため、ある程度包括的な内容で契約を交わします。当然、コンサルを行ってくれる相手を信用して契約を締結するものです。 コンサルタント契約は、法的には準委任契約と解され、原則としていつでも契約の解除をすることができ(民法656条、651条1項)、その際には相手方に不利な時期でない限り、損害賠償をする必要はありません(同法651条2項)。※1 ところが、コンサルタント契約によっては、一方的な解除ができない条項が設けられていたり、解除をしても契約の残存期間分の報酬を支払う契約内容になっていたりすることがあります。※2 契約を締結する際には相手を全面的に信用していることが多いため、「信頼している相手が自分を騙すようなことをするはずがない」として、報酬を高額かつ不明瞭に設定する一方で、細かい条項などの確認が疎かになりがちです。 そのほか、提供されるサービス内容も不明確なことがあり、何か違うと思ったときには、取り返しの付かない状態になっていることもままあります。 いわゆるクーリングオフは事業者間の契約には適用がないため、クーリングオフを利用して契約を解除することはできません。 サービスが提供されていないことや提供されたサービスが不十分であることを原因として契約の取消や解除をすることは考えられますが、コンサルタント契約は抽象的なサービスを提供するものであることが多いため、争いになった場合には、サービス提供がないことやサービスが不十分であることの証明は非常に困難です。 そうすると、契約書の条件で違約金を支払うなどの必要が出てきてしまい、実効性のないサービスに思わぬ支払をすることになることもあります。 そのほかによくあることとしては、口頭では契約をいつでも解除できるなどの話をしていたとしても、契約書に書かれていないことで、契約書どおりの条件に基づいた履行を求めてくるケースもあります。 コンサルタント契約は、上手に使えば、広い視野や経験に基づくアドバイスを受けられるものです。しかし一方で、コンサルタントという明確な資格や能力を裏打ちする客観的な評価基準などがあるわけではないので、玉石混淆の状況にあるといえます。 コンサルタントを依頼するときには、経営課題があるとか資金的な窮状があるなどのことが多く焦って契約をしてしまいがちですが、契約書を一度交わしてしまうと争うことが途端に難しくなるため、目の前の相手が本当に信用できるのか、報酬は適切か、提供を受けるサービス内容は何なのか等を、契約締結前に、慎重に検討されるようにしてください。※3 契約書を示された場合には、どのようなリスクがあるのかを正確に把握するため、弁護士にチェックしてもらうことも有用です。※1 いわゆる弁護士の顧問契約や委任契約は、特約で定められていない限り、いつでも解除することができるようになっていることが多いと思われます。※2 コンサルタント契約の目的によっては長期間のサービス提供が必要になることもあり、コンサルタントのリスクによっては、契約の一方的な解除を制限することに合理性が認められる場合もあります。※3 契約の締結を急かしてくる場合には、相応の問題がある可能性が高いです。
2018.02.02 09:10:54