仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い案が公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は12月6日、実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」を公表した。これは仮想通貨の会計処理及び開示に関する当面の取扱いを明らかにすることを目的としたもの。2018年2月6日までパブコメを募集している。
本公開草案によると、「当該仮想通貨に活発な市場が存在するかどうか」により、会計処理が分かれることとなる。すなわち、「当該仮想通貨に活発な市場が存在する場合」は、仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者は、市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する案となっている。一方、「当該仮想通貨に活発な市場が存在しない場合」は、仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者は、当該通貨の取得原価をもって貸借対照表価額とする案となっている。また、期末における処分見込価額(ゼロ又は備忘価額を含む)が取得原価を下回る場合には、当該処分見込価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価と当該処分見込価額との差額は当期の損失として処理する。
ここで、「活発な市場が存在する場合」とは、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、「継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいう」とされている。
また、本公開草案によると、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が仮想通貨を売却した場合、当該仮想通貨の売却収入から売却原価を控除して算定した「純額」を損益計算書に表示することになる。
なお、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が期末日において保有する仮想通貨、及び仮想通貨交換業者が預託者から預かっている仮想通貨について、財務諸表に次の事項を注記するとされている。
(1) 仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が期末日において保有する仮想通貨の貸借対照表価額の合計額
(2) 仮想通貨交換業者が預託者から預かっている仮想通貨の貸借対照表価額の合計額
(3) 仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が期末日において保有する仮想通貨について、活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の別に、仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表価額(ただし、貸借対照表価額が僅少な仮想通貨については、貸借対照表価額を集約して記載することができる)