経済産業省、伊藤レポート2.0を公表
経済産業省は10月26日、「伊藤レポート2.0」を公表した。これは、ESGと無形資産投資に関する初めての体系的な手引きと政策提言を取りまとめたもの。2014年に発表した「伊藤レポート」第一弾の続編といった位置づけだ。第一弾の「伊藤レポート」は、日本型ROE経営や企業と投資家の対話促進に向けた政策提言が行われており、ガバナンスコードの導入において重要な役割を果たしたことは記憶に新しい。
今回公表された「伊藤レポート2.0」では、日本企業のPBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)が諸外国に比べると低すぎることを指摘したうえで、下記の政策提言が行われている。
・企業と投資家の共通言語としての「価値協創ガイダンス」策定(価値協創ガイダンスの詳細については2017年5月31日のニュース「経産省、価値協創ガイダンスを策定」を参照)
・企業の統合的な情報開示と投資家との対話を促進するプラットフォームの設立
・機関投資家の投資判断、スチュワードシップ活動におけるガイダンス活用の推進
・開示・対話環境の整備
・資本市場における非財務情報データベースの充実とアクセス向上取組
・政策や企業戦略、投資判断の基礎となる無形資産等に関する調査・統計、研究の充実
・企業価値を高める無形資産(人的資本、研究開発投資、IT・ソフトウェア投資等)への投資促進のためのインセンティブ設計
・持続的な企業価値向上に向けた課題の継続的な検討
ここで言う「無形資産」は、必ずしもオンバランスしているものだけにかぎらず、人的資本やブランド価値等も含める概念である。PBRが1を上回る企業はバランスシートに表現されない無形資産への戦略的投資に成功して成長性を期待されている企業とも言えることから、伊藤レポート2.0では無形資産への投資促進を政策提言している。
経済産業省では、提言を受けた各政策につき、取り組みを進めるとしている。