目次 I-9


I−9 NPO法人と認定NPO法人の帳簿

Question
認定NPO法人に要求される帳簿等は通常のNPO法人のものと異なるのでしょうか。


Answer

 一言でいうと、認定特定非営利活動法人(以下「認定NPO法人」といいます)の方が、通常のNPO法人より一段と信頼性の高い帳簿等が要求されています。

 I−4及びでも説明していますように、NPO法人においては、法27条で「会計の原則」が定められており、その帳簿について正規の簿記の原則に基づいて記帳することが要求されています。

 一方、平成13年度税制改正において創設された認定NPO法人に係る税制上の特例措置を受けるための認定要件にも、運営組織及び経理についての要件が規定されており、そのなかで会計及び帳簿についての基準が設けられています。

 次に、認定NPO法人に求められている帳簿等について、具体的に説明しましょう。


1 経理の適正性

 認定NPO法人については、個人が認定NPO法人に寄付した場合に寄付金控除が認められる等の税制上の優遇措置が講じられている見返りに、いくつかの要件を満たすことが求められていますが、そのうちのひとつが「経理の適正性」の要件です。

 具体的には、次の2つの要件を満たすことが求められます。

 (1)  会計について公認会計士の監査を受けていること、又は帳簿書類の備え付け、記録及び保存の状況が一定の基準を満たしていること
 (2)  その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適切な経理が行われていないこと

 このうち(1)で求められていることは、公認会計士の監査が強制されるということではなく、帳簿書類の備え付け、記録及び保存の状況が一定の基準を満たしている場合も認められるということです。

 ここでいう「一定の基準」というのは、財務省令で定められており、法人税法上の規定の青色申告法人と同等のレベル(法人税法施行規則53条から59条まで)を意味しています。

 青色申告の制度については、法人税関係の書籍に詳しい説明がありますのでそれらをご覧いただくとして、ここでは帳簿の記帳、備付け及び保存の要件のポイントを説明します。

  (1)  その法人の資産、負債及び正味財産に影響を及ぼす一切の取引について、複式簿記の原則に従って、整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に基づいて決算を行うこと(法人税法施行規則53)
  (2)  全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(仕訳帳といいます。)、全ての取引を科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(総勘定元帳といいます)その他必要な帳簿を備え、施行規則の定めにしたがって、取引に関する事項を記載すること(法人税法施行規則5及び別表20)
  (3)  各事業年度終了の日現在において、その法人の活動内容及び規模等に応じて、適切な科目を用いて計算書類を作成すること
  (4)  法令等で定められた帳簿書類を整理するとともに、それぞれの区分に応じ定められた期間保存すること

 次に、(2)で求められていることは、帳簿の記帳等は適切になされていたとしてもその内容が不適正なものではいけないということです。

 ここでは、具体例として支出の使いみち及び相手先等が明らかではない、いわゆる使途秘匿金があげられていますが、これに限らず、不適正な経理が行われていないことが求められています。

 

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