目次 I-10


I−10 収益事業を行っている場合の区分経理

Question
収益事業を行っている場合は区分経理しなければならないと聞いていますが、区分経理とはどのようなことですか。


Answer

 NPO法5条では、「(略)収益を目的とする事業を行うことができる。収益事業に関する会計は当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない」と規定されています。したがって、あたかも別々の法人であるかのごとくに帳簿も貸借対照表、収支計算書などの計算書類もそれぞれ別に作成することが原則です。

 また法人税においても同じような規定があります。

 「公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分(単に収益及び費用に関する経理だけでなく、資産及び負債に関する経理を含む)して行わなければならない。」(法人税法施行令6条、法人税基本通達15−2−1)

 ここで注意しなければいけないことはNPO法での収益事業と法人税法上の収益事業とは定義が別であることです。

 まず、NPO法から説明します。法の別表に定める12の特定非営利活動のうち一つ以上を法人の目的としていますが、ある法人は環境の保全を特定非営利活動としていて、別の法人は別の特定非営利活動を目的として、環境の保全に関する活動を収益事業と位置づけることもあり得ます。

 つまりNPO法では収益事業は法人の定義次第ということになります。

 一方、法人税法では課税の公平を図るために法人の意思とは関係なく、後述するように33の事業を限定列挙しています。したがって、NPO法上は特定非営利活動に該当しても法人税法上は例えば物品販売業や出版業という収益事業に該当する場合があります。

 つまり活動は次のAからDの4パターンに分類されます。



 したがって、この4つの取引を区分できるように記帳しておかなければならないわけです。株式会社などではこのような区分は必要なく一つの会計でよいわけですから、それと比べるとNPO法人の会計は収益事業を行う場合大変事務手数のかかることになります。会計の区分を資産負債まで帳簿を厳格に区分することが困難な場合には、いわゆるピックアップ方式といわれる方法、例えば部門別管理をするなど工夫すればよいと思われます。

 

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