目次 II-1


II.NPO法人の税務


II−1 NPO法人とその他の法人の課税

Question
NPO法人とその他の法人に対する課税は、当然異なると思いますが、どのように違うのでしょうか。
 

Answer

 公益法人等、普通法人、法人格を取得していない人格のない社団等とNPO法人、そして認定特定非営利法人(以下、「認定NPO法人」といいます)に対する課税の取扱いは、次の表のようになります。

  公益法人等 人格なき社団等 NPO法人 認定NPO法人 普通法人
社団法人***
財団法人***
学校法人***
宗教法人***
***P T A
***町内会
***同窓会
非営利活動
法人***
国税庁長官の認定を受けた非営利活動法人 ***株式会社
***有限会社
***合資会社
法人税の
課税対象
法人税法上の収益事業のみに対して課税 すべての事業
法人税率 22%
所得金額800万円 以下   22%
800万円   30%
法人が支出
した寄付金
(注)1
損金算入限度額の計算
 普通法人と同じだが資本等がないため
 所得の2.5%×1/2
損金算入限度額(所得の2.5%+資本等の0.25%)×1/2
住民税の
法人割
法人税法上の収益事業のみに対して課税 すべての事業
住民税の
均等割
(注)2
条例による
一定の要件を満たした法人に対し、減免措置
がある市町村・都道府県あり
課 税
消費税
原則 普通法人と同じ
特定収入に対する規定有り
原則
基準期間の課税売上高が3,000万円以上の法人等
源泉所得税 報酬・給料等支払時等
法人が源泉徴収義務者
預金利子の
源泉税
15%と5%
課税無し
課税あり
 収益事業分については、法人税等から
 控除可
課税あり
法人税等から
全額控除可
法人に寄付
した場合
指定寄付金又は特定公益増進法人等に該当する場合
個人→ 寄付金控除の対象
法人→ 一般寄付金の限度額と別枠で一般寄付金と同額の限度額の範囲で損金
個人→ プライベート費用
法人→ 一般寄付金として限度額の範囲のみが損金
公益法人等と
同じ取扱い
個人→ プライベート費用
法人→ 一般寄付金
(注)1 (1) 学校法人、社会福祉法人の場合…当期所得の50%か200万円の多い金額
(2) 社団法人、財団法人の場合…当期所得の20%
(1)、(2)の限度額は、国等に対する寄付金を除く
(3) 法人の内部間の寄付…収益事業に属する資産から非収益事業のために支出した金額を寄付金とみなす「みなし寄付金」の規定あり
(注)2 社会福祉法人、学校法人の場合
収益事業を行わない場合均等割の課税なし
収益事業の所得の90%以上を収益事業以外の事業に充てていると、法人税割も均等割も課税なし

 現在のところ、認定NPO法人に対する寄付の取扱いを除いて、NPO法人に対する課税は、人格のない社団に対する課税とほぼかわりません。

(1)  NPO法人が法人税法上の収益事業を行った場合に、法人税が課税されます。
(2)  NPO法人に対し寄付を行った個人又は法人に対する課税は、そのNPO法人が認定NPO法人の場合には、公益法人等に対して寄付した場合と同様に取り扱われますが、一般のNPO法人に対する寄付は、寄付をした個人については、プライベート費用として、何ら税法上の恩典はありませんし、寄付をした法人については、一般寄付金としてその法人の寄付金の限度額の範囲のみが損金となり、人格のない社団に対して寄付をした場合と同じ取扱いになります。

 

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