3.《外国税額控除》外国でかかった税金を日本の税金から取り戻す
(12/10/01)
●制度をうまく使えば、税率の高い国の法人税を控除できる
複数の国外所得がある場合には、それらをすべて合算して控除限度額を計算します。この方法をうまく活用すると、税率の低い所得から発生した控除限度額を利用して
税率の高い外国税額を控除できる場合があります。
例えば、アメリカとシンガポールの両国に支店を開設して事業を行う場合などです。日本企業がアメリカで得た所得100に対して、アメリカで法人税が35%の税率(仮定。実際には15%から39%の段階税率)で課され、日本でも法人税が30%の税率で課された場合、日本企業に他の所得がないと仮定すると、控除限度額は30(30×100/100)となります。
したがって、アメリカで課された法人税35のうち日本の法人税から控除できるのは30だけとなります。
これに対して、アメリカだけでなくシンガポールでも100の所得があり、シンガポールで得た所得に対して17%の税率で法人税が課されたとし、日本ではアメリカとシンガポールの両国で得た所得200に対して30%の税率で法人税が課されたとすると、控除限度額は60(=60×200/200)となり、アメリカとシンガポールで課された法人税の合計額52(=35+17)の全額が日本の法人税から控除されることとなります。
つまり、税率の低いシンガポールの所得から発生した控除限度額を利用して、税率の高いアメリカの法人税を控除することができるわけです。
なお、
非課税の国外所得については、控除限度額の計算上、その一定割合が国外所得から除外されます。
国外所得から除外される割合は、今後徐々に増加することになっており、
平成26年4月1日以後に開始する事業年度からは全額が国外所得から除外されます。
ケイマンなど法人税がかからない国に所得があったとしても、将来的にはそれを利用して控除限度額を増やすことができなくなります。