海外進出企業に必要な国際税務

3.《外国税額控除》外国でかかった税金を日本の税金から取り戻す

(12/10/01)

●「外国法人税」を日本の法人税・住民税から控除できる


 外国税額控除制度において、日本の税金から控除できる外国の税金は、外国法人税に限定されています。

 外国法人税とは、外国の法令により課される日本の法人税に相当する税のことで、源泉税も含まれます。

 ただし、外国法人税であっても、所得に対する負担が35%を超える部分は、外国税額控除制度の対象から除外されます。

 外国法人税は、まず法人税の控除限度額の範囲内で日本の法人税から控除されます。外国法人税のうち日本の法人税から控除しきれない金額は、地方税の控除限度額の範囲内で日本の住民税から控除されます。

 法人税の控除限度額とは、すべての所得に対する日本の法人税額に、すべての所得金額のうちに国外所得金額の占める割合をかけて計算した金額です。

 国外所得金額とは、おおまかに言うと、外国で得た所得の金額のことです。地方税の控除限度額は、法人税の控除限度額に住民税の税率をかけて計算した金額です。

控除限度額の算式

 たとえば、日本と中国の事業で得た所得がそれぞれ100(合計200)、それに対して中国で25、日本で合計60の法人税が課されたとすると、控除限度額は30(60×100/200)となります。

 したがって、中国の法人税額25は控除限度額30の範囲内に収まるので、中国の法人税の全額25が日本の法人税額60から控除されます。その結果、日本の法人税額は35(60−25)に圧縮されます。

 なお、国外所得金額は、原則として、外国の事業にかかった費用を控除した後のネットの金額です。

 外国の事業と日本の事業の双方に共通して発生した費用は、合理的な基準に基づいて双方に配分します。

 共通費用が多額の場合には、国外所得金額が小さくなり、その結果控除限度額が小さくなってしまうことがありますので注意が必要です。

控除限度額の算式

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