海外進出企業に必要な国際税務

2.《租税条約》所得税・法人税が軽減される

(12/10/01)

●経済活動を促進する租税条約のしくみ


 租税条約とは、国際的二重課税を防ぐための国家間の合意であり、外資企業の誘致や国内企業の海外進出を促進することを目的としています。
 より具体的には、所得税と法人税が軽減の対象になります(基本的に消費税は対象外)。また、日本とX国との条約というように、2国間での条約となっているものが一般的です。

 たとえば、ある日本企業が、租税条約のないX国に子会社を設立し、100の利益を上げたとしましょう。X国の法人税が40%、配当を行う際の源泉税が30%だとすると、二重に課税されることで、図のように日本の親会社に送金される利益は42しか残らないことになります。こうした状況は、X国にとっては企業誘致の妨げになり、日本にとっては企業進出の障害となります。

 そこで締結されるのが租税条約です。日本がX国と租税条約を締結し、X国子会社からの配当の際に課税される30%の源泉税が軽減され、国際的二重課税が回避・軽減できます。

 先ほどの例でいうと、仮に源泉税が0%になれば、日本の親会社には60送金されることになります。

租税条約締結前と後の比較

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