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令和3年分国外財産調書、8年連続増加の約1.2万人が提出

 国外財産調書の提出制度は、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、平成24年度税制改正においてが創設され、平成26年1月から施行された(初回の調書は平成25年分)。国税庁はこのほど、国外財産調書制度創設後9年目となる令和3年分の国外財産調書の提出状況を公表した。

 それによると、令和3年分(令和3年12月31日時点の国外財産の保有状況を記載した)国外財産調書は、昨年3月15日を期限に提出されているが(集計は令和4年6月末まで)、提出件数は前年比6.9%増の1万2109件で8年連続増加、その総財産額は同35.9%増の5兆6364億円で2年ぶりに増加した。局別では、「東京局」7755件(構成比64.0%)、「大阪局」1737件(同14.3%)、「名古屋局」858件(同7.1%)の順に多く、この都市局3局で8割半ばを占めた。

 総財産額でみると、「東京局」は4兆2829億円にのぼり、全体の76.0%を占め、東京・大阪(12.5%)・名古屋(4.1%)の3局で9割強を占める。また、財産の種類別総額では、「有価証券」が63.3%(3兆5659億円)を占めて最多、「預貯金」13.5%、「建物」7.9%、「貸付金」2.8%、「土地」2.6%のほか、「それ以外の財産」が9.8%となっている。

 国外財産調書提出制度は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類や数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、税務署長に提出しなければならないというもの。個人を対象に平成26年から義務化されたが、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、インセンティブ措置等が設けられている。

 具体的には、1)調書を期限内に提出した場合に、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)、2)調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)する。また、故意の不提出や虚偽記載に対して1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される。

 国外財産調書の提出者及び提出を要すると見込まれる者に対する令和3事務年度(令和3年7月~4年6月)における所得税及び相続税の実地調査の結果、上記1)の軽減措置を適用したのは135件、増差所得等金額は41億9893万円、2)の加重措置を適用した件数は293件、同439億2378万円だった。なお、令和4年度税制改正においては、提出期限が翌年の6月30日になるなどの見直しが行われている。

令和3年分の国外財産調書の提出状況について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国外財産調書の提出制度は、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、平成24年度税制改正においてが創設され、平成26年1月から施行された(初回の調書は平成25年分)。国税庁はこのほど、国外財産調書制度創設後9年目となる令和3年分の国外財産調書の提出状況を公表した。 それによると、令和3年分(令和3年12月31日時点の国外財産の保有状況を記載した)国外財産調書は、昨年3月15日を期限に提出されているが(集計は令和4年6月末まで)、提出件数は前年比6.9%増の1万2109件で8年連続増加、その総財産額は同35.9%増の5兆6364億円で2年ぶりに増加した。局別では、「東京局」7755件(構成比64.0%)、「大阪局」1737件(同14.3%)、「名古屋局」858件(同7.1%)の順に多く、この都市局3局で8割半ばを占めた。 総財産額でみると、「東京局」は4兆2829億円にのぼり、全体の76.0%を占め、東京・大阪(12.5%)・名古屋(4.1%)の3局で9割強を占める。また、財産の種類別総額では、「有価証券」が63.3%(3兆5659億円)を占めて最多、「預貯金」13.5%、「建物」7.9%、「貸付金」2.8%、「土地」2.6%のほか、「それ以外の財産」が9.8%となっている。 国外財産調書提出制度は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類や数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、税務署長に提出しなければならないというもの。個人を対象に平成26年から義務化されたが、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、インセンティブ措置等が設けられている。 具体的には、1)調書を期限内に提出した場合に、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(▲5%)、2)調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)する。また、故意の不提出や虚偽記載に対して1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される。 国外財産調書の提出者及び提出を要すると見込まれる者に対する令和3事務年度(令和3年7月~4年6月)における所得税及び相続税の実地調査の結果、上記1)の軽減措置を適用したのは135件、増差所得等金額は41億9893万円、2)の加重措置を適用した件数は293件、同439億2378万円だった。なお、令和4年度税制改正においては、提出期限が翌年の6月30日になるなどの見直しが行われている。
2023.02.03 16:32:07