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「1億円の壁」対策 所得30億円超で追加税 対象者は300人程度

 政府・与党は、年間所得が30億円を超えるような超富裕層を対象に、追加的な税負担を求める方針を決めた。対象となるのは200~300人程度の見込みで、2025年分の所得からの適用を目指す。
 新たな仕組みでは、株式や不動産の売却益や給与などを合算した「合計所得金額」から3億3000万円を差し引いたうえで、22.5%の税率をかけた金額を計算する。この金額が通常の所得税額を上回る場合、差額分を追加で徴税する。
 追加負担は所得に応じて徐々に大きくなり、所得50億円であれば、所得税の負担が2~3%程度増える見込み。保有する株式譲渡益を元手として起業したり、スタートアップ企業に再投資したりした場合、最大20億円まで非課税とする税負担軽減策もあわせて講じる。
 政府・与党は所得格差の解消に向け、所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」の是正を目指して2023年度の与党税制改正でも議論をしていた。しかし、自民党内で慎重論が強く、調整は難航。ある与党の税制調査会幹部は「1億円の壁というところで議論をしていたのに、水準が30億円程度では対象となる人数が少なく格差是正の意味がない」と批判する。
 公明党の西田実仁税調会長は「慎重論も強くあった」と明かした上で、「日本で初めて導入される富裕層課税の適正化だ。風穴を開けることができた」と評価した。一方、水準となる額については来年度以降も与党税調で協議が続く見込みだ。

提供元:エヌピー通信社

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 政府・与党は、年間所得が30億円を超えるような超富裕層を対象に、追加的な税負担を求める方針を決めた。対象となるのは200~300人程度の見込みで、2025年分の所得からの適用を目指す。 新たな仕組みでは、株式や不動産の売却益や給与などを合算した「合計所得金額」から3億3000万円を差し引いたうえで、22.5%の税率をかけた金額を計算する。この金額が通常の所得税額を上回る場合、差額分を追加で徴税する。 追加負担は所得に応じて徐々に大きくなり、所得50億円であれば、所得税の負担が2~3%程度増える見込み。保有する株式譲渡益を元手として起業したり、スタートアップ企業に再投資したりした場合、最大20億円まで非課税とする税負担軽減策もあわせて講じる。 政府・与党は所得格差の解消に向け、所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」の是正を目指して2023年度の与党税制改正でも議論をしていた。しかし、自民党内で慎重論が強く、調整は難航。ある与党の税制調査会幹部は「1億円の壁というところで議論をしていたのに、水準が30億円程度では対象となる人数が少なく格差是正の意味がない」と批判する。 公明党の西田実仁税調会長は「慎重論も強くあった」と明かした上で、「日本で初めて導入される富裕層課税の適正化だ。風穴を開けることができた」と評価した。一方、水準となる額については来年度以降も与党税調で協議が続く見込みだ。提供元:エヌピー通信社
2022.12.15 16:15:19