贈与税の生前加算期間 政府税調で延長を議論
相続税・贈与税のあり方を見直すために、政府の税制調査会が設置した専門家会議での議論が始まっている。10月21日にあった会合では、選択制となっている贈与税の課税方式について、資産移転の時期の中立性などの観点から有識者が意見交換した。
現行の税制では、贈与税の税率が相続税よりも高いことや、被相続人の高齢化によって、若年層への資産移転が進みにくいといった課題がある。2022年度の税制改正大綱にも、「資産の再配分機能の確保を図りつつ、早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要」との考え方が盛り込まれた。また、贈与税の課税方式で、暦年課税を選択した場合は死亡前3年以内の贈与のみ相続税として加算され、それ以前の贈与には、より税率の高い贈与税の税率が課されるために税負担が大きく異なり、資産移転の時期に中立的でないといった指摘もされている。
こうした問題提起を受けて、会合では「暦年課税で相続として加算される死亡前3年の期間を延ばすべき」といった意見が多く出た。延長期間については、「10年ほど」など具体的な数字も出たが、一方で「期間を延ばす場合は移行期間を設けるべき」との指摘もあった。現行の贈与税では、「相続時の税負担がどうなるか不確実性があり、生前贈与をためらう要因になるのでは」といった懸念や相続時精算課税の使い勝手の向上を求める声も上がった。
与党の税制調査会では23年度の税制改正大綱取りまとめに向けた作業が始まっており、政府税調は大綱への反映を目指す。
提供元:エヌピー通信社