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政府税調 雇用の流動化を加速へ

 政府の税制調査会で、個人所得税のあり方に関する議論が進んでいる。年間所得が1億円を超えると税負担が低くなる「1億円の壁」問題や、多様化する働き方に応じた所得課税のあり方についての考え方が中期答申に盛り込まれる見込みだ。
 10月18日にあった税制調査会の総会では、退職金への課税制度の問題点について議論された。現行制度では、退職金への課税は勤続年数によって控除率が変わる。日本は他の先進国と比べて従業員の平均勤続年数が高く、こうした税制が雇用の流動化を阻んでいるといった意見も出た。
 また、ほかにも女性の働き方や、私的年金制度に関わる税制上の問題も議題に挙がった。配偶者の収入が103万円を超えると配偶者控除を受けられなくなり、女性の就業抑制につながると指摘されてきた「103万円の壁」は、現在150万円まで控除を受ける上限額が引き上げられている。その一方で、人事院の調査では、民間企業が配偶者手当の支給基準に103万円を今も採用している割合が半数近くあることが明らかになっている。これが事実上の「103万円の壁」となり女性の社会進出を阻んでいることが問題となっている。
 総会後の記者会見で、中里実会長は退職所得控除の制度について、「長期的な人生設計の前提となる制度の安定性は一定程度重要だ。ただ、(他国と)比べた場合に理論的にみて長く勤めるほど控除が大きくなって、退職金は分離課税なので負担が軽くなっていることの問題意識はわかる」と述べるにとどめ、答申に向けて議論を進めていく考えを示した。

提供元:エヌピー通信社

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 政府の税制調査会で、個人所得税のあり方に関する議論が進んでいる。年間所得が1億円を超えると税負担が低くなる「1億円の壁」問題や、多様化する働き方に応じた所得課税のあり方についての考え方が中期答申に盛り込まれる見込みだ。 10月18日にあった税制調査会の総会では、退職金への課税制度の問題点について議論された。現行制度では、退職金への課税は勤続年数によって控除率が変わる。日本は他の先進国と比べて従業員の平均勤続年数が高く、こうした税制が雇用の流動化を阻んでいるといった意見も出た。 また、ほかにも女性の働き方や、私的年金制度に関わる税制上の問題も議題に挙がった。配偶者の収入が103万円を超えると配偶者控除を受けられなくなり、女性の就業抑制につながると指摘されてきた「103万円の壁」は、現在150万円まで控除を受ける上限額が引き上げられている。その一方で、人事院の調査では、民間企業が配偶者手当の支給基準に103万円を今も採用している割合が半数近くあることが明らかになっている。これが事実上の「103万円の壁」となり女性の社会進出を阻んでいることが問題となっている。 総会後の記者会見で、中里実会長は退職所得控除の制度について、「長期的な人生設計の前提となる制度の安定性は一定程度重要だ。ただ、(他国と)比べた場合に理論的にみて長く勤めるほど控除が大きくなって、退職金は分離課税なので負担が軽くなっていることの問題意識はわかる」と述べるにとどめ、答申に向けて議論を進めていく考えを示した。提供元:エヌピー通信社
2022.10.20 16:41:58