厚労省、iDeCo改革に伴う税制措置を要望
本年末に策定される政府の「資産所得倍増プラン」には、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)制度の改革が盛り込まれるが、厚生労働省は令和5年度税制改正で、この改革に伴う税制上の措置を講じることを要望した。
本年6月に閣議決定された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画では、我が国の個人金融資産2千兆円の半分以上が預金・現金で保有されていることを踏まえ、これらの貯蓄を投資にシフトさせるため、NISAの抜本的拡充とともに、現預金の過半を保有している高齢者に向けて、就業機会の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し、iDeCo制度の改革を図るとしたうえで、これらも含めて、新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、本年末に総合的な資産所得倍増プランを策定することが記載されていた。
iDeCoは、確定拠出年金法に基づく私的年金で、65歳未満まで加入でき、1)掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象で全額所得控除、2)運用益は非課税、3)給付金は、一時金で受給する場合は退職所得控除、年金で受給する場合は公的年金等控除の対象となる税制上の優遇措置がある。
iDeCoは、すでに本年も大きな制度改正が実施されており、4月から老齢給付金の受給開始時期の上限が75歳(改正前70歳)に延長(受給開始時期の選択肢が60歳から75歳までの間に拡大)され、5月から加入可能年齢が65歳未満(改正前60歳未満)に引上げられている。さらに10月からは、企業型年金規約の定めによりiDeCoに加入できなかった企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者も加入できることになっている。
大きな制度改正が実施された後に行われる改革の内容については、年末まで待つことになるが、実行計画での、「…現預金の過半を保有している高齢者に向けて、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し、iDeCo制度の改革や…」との記載の解釈によっては、5月に引き上げられたばかりの加入可能年齢のさらなる引上げも想定される。
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