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金融庁、NISAの抜本的拡充等税制改正要望

 金融庁はこのほど、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充等を新規に盛り込んだ令和5年度税制改正要望を公表した。

 NISA抜本拡充の狙いは貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進めること。現在、日本の家計金融資産2000兆円のうち、半分以上が預金・現金で保有されている。この結果、米国では20年間で家計金融資産が3.4倍、英国では2.3倍となっているところ、日本では1.4倍である。家計の保有する金融資産を拡大していくためには、預金として保有されている資産が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を作る必要があるとしている。

 また金融庁では、国内金融機関の国際競争力の観点から、海外進出における支店と子会社形態の税制上のイコールフッティングを図ることも新規要望として盛り込んでいる。狙いは国内金融機関が海外で事業を行うための環境を整備し、その国際的な競争力を高めること。

 国際課税のルールにおいては、支店と子会社を同等に取り扱うのが今般の潮だが、日本の税法は、海外支店について「全世界所得課税」、海外子会社について「テリトリアル課税」を採用しており、支店と子会社で税務上の取扱いが大きく異なる。銀行については、支店形態による海外進出がグローバルスタンダードとなっており、国際競争力の観点から、海外進出における支店と子会社形態の税制上のイコールフッティングを図る必要があるとしている。

 新規要望に盛り込まれたのはこのほか、上場株式等の相続税に係る見直し、金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)、海外ファンドとの債券現先取引(レポ取引)に係る非課税措置の恒久化、暗号資産の期末時価評価課税など。また、企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長については、厚生労働省、財務省、農林 水産省、経済産業省、総務省、文部科学省との共同要望となっている。

金融庁の令和5年度税制改正要望について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 金融庁はこのほど、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充等を新規に盛り込んだ令和5年度税制改正要望を公表した。 NISA抜本拡充の狙いは貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進めること。現在、日本の家計金融資産2000兆円のうち、半分以上が預金・現金で保有されている。この結果、米国では20年間で家計金融資産が3.4倍、英国では2.3倍となっているところ、日本では1.4倍である。家計の保有する金融資産を拡大していくためには、預金として保有されている資産が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を作る必要があるとしている。 また金融庁では、国内金融機関の国際競争力の観点から、海外進出における支店と子会社形態の税制上のイコールフッティングを図ることも新規要望として盛り込んでいる。狙いは国内金融機関が海外で事業を行うための環境を整備し、その国際的な競争力を高めること。 国際課税のルールにおいては、支店と子会社を同等に取り扱うのが今般の潮だが、日本の税法は、海外支店について「全世界所得課税」、海外子会社について「テリトリアル課税」を採用しており、支店と子会社で税務上の取扱いが大きく異なる。銀行については、支店形態による海外進出がグローバルスタンダードとなっており、国際競争力の観点から、海外進出における支店と子会社形態の税制上のイコールフッティングを図る必要があるとしている。 新規要望に盛り込まれたのはこのほか、上場株式等の相続税に係る見直し、金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)、海外ファンドとの債券現先取引(レポ取引)に係る非課税措置の恒久化、暗号資産の期末時価評価課税など。また、企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長については、厚生労働省、財務省、農林 水産省、経済産業省、総務省、文部科学省との共同要望となっている。
2022.09.07 15:52:05