外国子会社益金不算入制度の外国子会社には該当しないと判示
海外の法人から受けた剰余金の配当を巡って、その海外法人が外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社に該当するか否かの判断が争われた事件で大阪地裁(山地修裁判長)は、議決権のある株式の数、株式の金額、出資の数、出資の金額の保有割合に係るいずれの要件も満たしていないと判断、法人側の請求を棄却した。
この事件は、海外企業に対する企業進出に関するコンサルティング等を目的とする内国法人がカナダに本店が置かれた法人から剰余金の配当を受け、配当の額からその5%相当額を控除した金額の円換算額は益金の額に算入されないと判断、円換算額を益金の額に算入せずに法人税及び復興特別法人税の確定申告をしたのが発端となった。
この申告に対して原処分庁が、カナダの法人は外国子会社に該当しないと判断、法人税の更正処分及び復興特別法人税の更正処分並びに更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたわけだ。そこで内国法人側が、カナダ法人は法人税法23条の2第1項(外国子会社配当益金不算入制度)にいう外国子会社に該当するから原処分は違法であると主張、更正処分等の取消しを求めて提訴したという事案である。
内国法人側は、出資又は出資の金額について、内国法人の外国法人に対する出資が設立時又は新設合併時に行われただけである場合や発起人と募集株式の引受人の出資が1株当たりの株式発行価額と同額で行われている場合等、実情に応じた個別的な判断が可能な場合は、発行株式の引受けのための金銭の払込み又はその他の資産の給付を出資とし、その払込みの額又は給付の額を出資の金額として外国子会社該当性の判断基準とすることができるなどと主張して、原処分の取消しを求めた。
これに対して判決は、まず外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社の要件を定めた法人税法施行令22条の4第1項2号の「議決権のある株式又は出資の数又は金額」は、議決権のある株式の数、議決権のある株式の金額、議決権のある出資の数、議決権のある出資の金額の4通りを意味すると解しても不合理なものとはいえず、文理上は自然ということができると指摘。
その上で、いずれかの要件を満たすか否かについて検討した結果、海外法人の議決権のある株式の数、議決権のある株式の金額、議決権のある出資の数、議決権のある出資の金額のうちに内国法人が保有している割合はいずれも25%以上であるという要件を満たしていないと認定、海外法人は法人税法施行令22条の4第1項2号に規定される外国子会社の要件を満たさないと判示して、内国法人側の主張を斥けた。
(2021.09.28大阪地裁判決、令和元年(行ウ)第68号)
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