郵便局の転居届情報を国税・地方税の徴収にも提供
総務省の「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」は、郵便局が保有する転居届に係る情報等を提供することが可能となる事例として、国税や地方税の徴収のために要請があった場合等を、郵便分野ガイドラインの解説に明記することを、6月14日にまとめた報告書(案)に盛り込んだ。ガイドラインは本年7月に改訂される予定。
郵便法では、個人情報の第三者への提供を原則として認めていない。国税及び地方税には、官公署等に対して徴収のための情報提供の協力要請を求めることができるとする規定が設けられているものの、現行のガイドラインの解説では、転居届に係る情報等の「郵便物に関して知り得た他人の秘密」については、法律上の照会権限を有する者からの照会がなされた場合であっても、原則として提供することはできないとしている。ただし、情報を用いることによる利益が秘密を守る利益を上回ると認められたときには、第三者提供が可能となることも明記している。
ところが、ガイドラインの解説上、具体的事例に乏しいことから、情報提供が可能となるかとの照会に対して回答すべきか郵便現場レベルでの判断が困難であるため回答していないのが実情。実際に、町税等の滞納者が住民票を移動せずに転出している場合、その所在を特定することが困難なことから、郵便局に対して転居届の記載内容等を照会したが、個人情報保護法及び郵便法の規定による守秘義務の関係から回答不可とされたとの事例もある。
一方、法令等に基づき提供すべきと考えられるデータは提供されて然るべきと要望する地方公共団体の声が大きくなっていた。
改訂されるガイドラインの解説には、情報の提供を可能とするケースとして「徴収職員又は徴税吏員が、国税徴収法第146条の2又は地方税法第20条の11の規定に基づき、国税又は地方税に関する調査について必要があるときに行う協力要請として、住民票を異動せず転出し所在の把握が困難となっている滞納者の転居届に係る情報を照会してきた場合であって、事業者(日本郵便)が、当該滞納者の同意を得ることなく、転居届に係る情報を提供する場合」が明記されることになった。
「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」報告書(案)について
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)