申告期限一律延長しないのは「申告が全体として後ろ倒しになるため」
令和3年分の所得税等確定申告で申告期限を一律に延長しないのは、一律延長すると申告が全体として後ろ倒しになるためだとの国会答弁が行われていることが明らかになっている。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、申告期限までの申告等が困難な者(感染者や自宅待機者のほか通常の業務体制が維持できない者等)に限り、4月15日まで期限を1ヵ月延長する措置がとられているが、昨年、一昨年は全ての納税者に対し延長が実施されたことから、国会では延長に関する質問が相次いだ。
所得税法等改正法案の実質審議が始まった2月9日の衆議院財務金融委員会では、角田秀穂議員(公明党)が、今年はコロナの影響で申告等が困難な者に限り延長となったが、一律にしなかった理由は何かと質問。
これに対して重藤哲郎国税庁次長は「過去2回の経験を踏まえると、一律に期限を延長すると、申告相談を早めに済ませることが可能な方も含め、申告が全体として後ろ倒しになることが予想されるため」と答弁。
さらに、野田佳彦議員(立憲民主党)も、申告会場の密を避けるためには期限の延長を考えるべきではないのかと質問したものの、重藤国税庁次長は、申告が全体として後ろ倒しになるためとの理由を繰り返すにとどまった。
これに先立ち、国税庁がコロナによる申告困難者に対する申告期限の1ヵ月延長を公表した2月3日の翌日に開かれた同委員会でも、藤巻健太(日本維新の会)、田村貴昭(日本共産党)の両議員が同様の質問をしており、関心の高さを示している。
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