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月収1千万円の「人気嬢」も 「ギャラ飲み女子」に国税の目 納税意識薄く無申告が常態化

 一定の料金を支払って呼んだ女性と飲食をともにする「ギャラ飲み」と呼ばれるマッチングサービスを巡り、キャストとして働く女性らに無申告の疑いが相次いでいることが分かった。近年増加するこうしたシェアリングエコノミーと呼ばれるビジネス形態では一定の収入があるにもかかわらず申告しないケースも多く、国税当局は目を光らせている。
 ギャラ飲みは、飲食宅配サービスのウーバーイーツや民泊、フリマアプリなどに代表される「シェアリングエコノミー」の一つだ。女性がアプリに「キャスト」として登録し、利用者はアプリを通じてキャストを集合場所に呼び出し、一緒に飲食を行う。報酬は運営会社を通じてキャストに支払われ、人気の女性は月収1千万円を超えることもあるという。
 こうしたマッチングアプリは複数あり、例えばマッチング数1位をうたうアプリでは、女性の人気により「スタンダード」「VIP」「ロイヤルVIP」などとランク付けされ、30分3000円~1万2500円の料金で女性を呼べるシステムだ。ダウンロード数は60万を超え、ホームページでは領収証を発行できることもPRしていることから、ビジネスで利用するケースもあるとみられる。
 今回無申告の疑いが浮上したきっかけは、マッチングアプリの運営会社に東京国税局の税務調査が入ったことだった。2月上旬にはインターネット上のSNSに、「1、2カ月前にギャラ飲みアプリの〇〇に国税が入ったんですが、その際に〇〇は女性の名簿を渡してしまったみたいです。(中略)ほとんどの女性が無申告で1円も税金払っていない状態なので、相当な金額の課税がきてまして、港区女子が震えてます。やばい子だと1000万円課税がくるような子もいるみたいです」(投稿では企業名が実名)との投稿があり、話題となっていた。すでに当局は、年間数百万円以上の報酬を得ながらも申告していないキャストが数十人いることを確認していて、さらに調査を進めていく方針だ。
 キャストは運営会社との雇用関係はなく、税金が源泉徴収されない。そのため収入から経費などを差し引いた所得が一定額を超えると所得税を納める必要があるほか、年収が1千万円を超えるなどの基準を満たすと消費税の納税義務も生じる。だがキャストの中心である20~30代の女性らは納税意識が低く、申告していないケースも多いとみられている。運営会社も こうした実態を把握し、キャストに対して税務申告に関するセミナーを開くなどの対応を講じているが効果は薄いようだ。
 飲食宅配サービスのウーバーイーツや民泊サービス、フリマアプリなどの「シェアリングエコノミー」は年々市場規模を拡大しているが、一定以上の収入を得ながらも無申告であるケースが後を絶たない。国税庁は2020事務年度には1071件の税務調査を実施し、1件当たり1872万円の申告漏れを指摘している。

提供元:エヌピー通信社

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 一定の料金を支払って呼んだ女性と飲食をともにする「ギャラ飲み」と呼ばれるマッチングサービスを巡り、キャストとして働く女性らに無申告の疑いが相次いでいることが分かった。近年増加するこうしたシェアリングエコノミーと呼ばれるビジネス形態では一定の収入があるにもかかわらず申告しないケースも多く、国税当局は目を光らせている。 ギャラ飲みは、飲食宅配サービスのウーバーイーツや民泊、フリマアプリなどに代表される「シェアリングエコノミー」の一つだ。女性がアプリに「キャスト」として登録し、利用者はアプリを通じてキャストを集合場所に呼び出し、一緒に飲食を行う。報酬は運営会社を通じてキャストに支払われ、人気の女性は月収1千万円を超えることもあるという。 こうしたマッチングアプリは複数あり、例えばマッチング数1位をうたうアプリでは、女性の人気により「スタンダード」「VIP」「ロイヤルVIP」などとランク付けされ、30分3000円~1万2500円の料金で女性を呼べるシステムだ。ダウンロード数は60万を超え、ホームページでは領収証を発行できることもPRしていることから、ビジネスで利用するケースもあるとみられる。 今回無申告の疑いが浮上したきっかけは、マッチングアプリの運営会社に東京国税局の税務調査が入ったことだった。2月上旬にはインターネット上のSNSに、「1、2カ月前にギャラ飲みアプリの〇〇に国税が入ったんですが、その際に〇〇は女性の名簿を渡してしまったみたいです。(中略)ほとんどの女性が無申告で1円も税金払っていない状態なので、相当な金額の課税がきてまして、港区女子が震えてます。やばい子だと1000万円課税がくるような子もいるみたいです」(投稿では企業名が実名)との投稿があり、話題となっていた。すでに当局は、年間数百万円以上の報酬を得ながらも申告していないキャストが数十人いることを確認していて、さらに調査を進めていく方針だ。 キャストは運営会社との雇用関係はなく、税金が源泉徴収されない。そのため収入から経費などを差し引いた所得が一定額を超えると所得税を納める必要があるほか、年収が1千万円を超えるなどの基準を満たすと消費税の納税義務も生じる。だがキャストの中心である20~30代の女性らは納税意識が低く、申告していないケースも多いとみられている。運営会社も こうした実態を把握し、キャストに対して税務申告に関するセミナーを開くなどの対応を講じているが効果は薄いようだ。 飲食宅配サービスのウーバーイーツや民泊サービス、フリマアプリなどの「シェアリングエコノミー」は年々市場規模を拡大しているが、一定以上の収入を得ながらも無申告であるケースが後を絶たない。国税庁は2020事務年度には1071件の税務調査を実施し、1件当たり1872万円の申告漏れを指摘している。提供元:エヌピー通信社
2022.02.09 16:15:20