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配当所得の所得税と住民税 異なる課税申告が不可に ふさがれた配当所得の節税策

 2022年度の税制改正では、株式の配当所得の課税方式が変更になる。これにより従来の節税策がふさがれることになり、24年度からは税負担が増える人が出てくる。
 配当所得の課税方法は現在の仕組みでは3つある。「申告不要制度」では、上場株式の配当があると、15%の所得税と5%の住民税(復興特別所得税含まず)の計20%を証券会社が源泉徴収する。確定申告をして税額を決める方法では、配当を給与などと分けて手続きをする「申告分離課税」と、給与など他の所得と合算する「総合課税」がある。総合課税は所得額が高いほど税率も上がる累進課税方式で、配当所得は一定割合が軽減される「配当控除」を受けることができる。
 所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことで、配当を含めた課税所得900万円以下の人であれば節税が可能となっていた。所得税で総合課税を選べば、配当控除を加味すると税率は申告不要の15%より低くなる。住民税では申告不要を選ぶことで5%となり、総合課税とするより税率は低くなる。これにより所得税と住民税を合わせた税率は、源泉徴収の場合の20%より低く抑えることができる。しかし今回の税制改正により、24年度からは所得税、住民税で別々の課税方式を選ぶことができなくなった。これによって税負担が増す人が出てくる。
 この節税策は配当所得のある、リタイア後のシニアの間で主に広がっているという。配当所得の申告不要を選んだ場合、住民税課税所得の対象とならないため、これをもとに算出する国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料や、医療費の窓口負担を抑えることにつながっていることも理由だ。制度改正により、影響は社会保障の負担額にも連動することになる。

提供元:エヌピー通信社

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 2022年度の税制改正では、株式の配当所得の課税方式が変更になる。これにより従来の節税策がふさがれることになり、24年度からは税負担が増える人が出てくる。 配当所得の課税方法は現在の仕組みでは3つある。「申告不要制度」では、上場株式の配当があると、15%の所得税と5%の住民税(復興特別所得税含まず)の計20%を証券会社が源泉徴収する。確定申告をして税額を決める方法では、配当を給与などと分けて手続きをする「申告分離課税」と、給与など他の所得と合算する「総合課税」がある。総合課税は所得額が高いほど税率も上がる累進課税方式で、配当所得は一定割合が軽減される「配当控除」を受けることができる。 所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことで、配当を含めた課税所得900万円以下の人であれば節税が可能となっていた。所得税で総合課税を選べば、配当控除を加味すると税率は申告不要の15%より低くなる。住民税では申告不要を選ぶことで5%となり、総合課税とするより税率は低くなる。これにより所得税と住民税を合わせた税率は、源泉徴収の場合の20%より低く抑えることができる。しかし今回の税制改正により、24年度からは所得税、住民税で別々の課税方式を選ぶことができなくなった。これによって税負担が増す人が出てくる。 この節税策は配当所得のある、リタイア後のシニアの間で主に広がっているという。配当所得の申告不要を選んだ場合、住民税課税所得の対象とならないため、これをもとに算出する国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料や、医療費の窓口負担を抑えることにつながっていることも理由だ。制度改正により、影響は社会保障の負担額にも連動することになる。提供元:エヌピー通信社
2022.02.03 16:30:24