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法人税調査件数3分の1に減少も、1件当たり追徴税額2.5倍に増加

 国税庁が11月30日に公表した令和2事務年度の法人税・法人消費税の調査事績によると、新型コロナウイルスの影響により、実地調査件数は前年の3分の1に減少したものの、調査1件当たりの追徴税額は2.5倍に増加したことがわかった。

 調査は令和2年2月~3年1月までに事業年度が終了した法人を対象に、あらゆる資料情報と企業から提出された申告書等の分析等から、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度の高い法人2万5千件(前年7万6千件)に対し令和2年7月~3年6月までの1年間に実施した。

 その結果、法人税で2万件、法人消費税で1万6千件に非違が見つかり、申告漏れ所得金額は5286億円(前年7802億円)、追徴税額は1936億円(前年2367億円)と、前年に比べともに減ったものの、調査1件当たりの追徴税額は780万円(前年313万円)と増大した。

 国税庁では、消費税還付申告法人、海外取引法人等、無申告法人に対する調査を主要な取組みとして捉えている。このうち消費税の不正還付は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性が高い行為であるため、特に厳正な調査を実施しており、令和2事務年度は消費税還付申告法人に対し総額219億円を追徴(うち不正還付34億円)している。

 消費税不正還付の主な手口をみると、国内で架空仕入れを計上するとともに、免税となる国外への売上げを架空計上することにより、売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を控除するとマイナスになることを利用して還付を受けている。

 国税庁では、消費税の不正還付を防止するため、法人から税務署に提出された消費税還付申告書について、申告内容に応じて、還付事由の確認のため還付金の支払手続きを保留したうえで厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行っていく方針。

令和2事務年度の法人税・法人消費税の調査事績の概要について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁が11月30日に公表した令和2事務年度の法人税・法人消費税の調査事績によると、新型コロナウイルスの影響により、実地調査件数は前年の3分の1に減少したものの、調査1件当たりの追徴税額は2.5倍に増加したことがわかった。 調査は令和2年2月~3年1月までに事業年度が終了した法人を対象に、あらゆる資料情報と企業から提出された申告書等の分析等から、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度の高い法人2万5千件(前年7万6千件)に対し令和2年7月~3年6月までの1年間に実施した。 その結果、法人税で2万件、法人消費税で1万6千件に非違が見つかり、申告漏れ所得金額は5286億円(前年7802億円)、追徴税額は1936億円(前年2367億円)と、前年に比べともに減ったものの、調査1件当たりの追徴税額は780万円(前年313万円)と増大した。 国税庁では、消費税還付申告法人、海外取引法人等、無申告法人に対する調査を主要な取組みとして捉えている。このうち消費税の不正還付は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性が高い行為であるため、特に厳正な調査を実施しており、令和2事務年度は消費税還付申告法人に対し総額219億円を追徴(うち不正還付34億円)している。 消費税不正還付の主な手口をみると、国内で架空仕入れを計上するとともに、免税となる国外への売上げを架空計上することにより、売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を控除するとマイナスになることを利用して還付を受けている。 国税庁では、消費税の不正還付を防止するため、法人から税務署に提出された消費税還付申告書について、申告内容に応じて、還付事由の確認のため還付金の支払手続きを保留したうえで厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行っていく方針。
2021.12.02 16:25:03