会計検査院、財務省に1億5492万円の徴収不足を指摘
会計検査院がこのほど公表した令和2年度決算検査報告によると、同年度の指摘した税金の無駄遣いや不適切経理などの件数は、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い緊急事態宣言が発出されている間は実地検査が中止となっていたため、指摘件数は前年に比べて38件少ない210件となった一方、その分しっかりした資料収集や的確な検査により、その指摘金額は2108億7231万円と前年(約297億円)に比べて大幅に増えている。
財務省への指摘では、納税者52人(52事項)へ1億5492万円(平成25年度~令和2年度)の徴収不足を不当事項として指摘している。具体的には、42税務署が租税を徴収するに当たり、1)納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤ったにもかかわらずこれの見過ごし、2)法令等の適用の検討が不十分、3)課税資料の収集及び活用の不的確に伴い、1億5492万円の不足が生じたとしている。
52事項を税目別でみると、「法人税」が21事項で徴収不足が5085万円と最も多く、次いで「消費税」14事項・4636万円、「申告所得税」14事項・4381万円、「相続・贈与税」3事項1389万円となっていて、会計検査院の指摘後、これらの徴収不足額は徴収決定の処置が取られている。
事項として最も多かった法人税の態様別では、交際費等の損金不算入に関するものが8事項で最多となっており、受取配当等の益金不算入に関するものが6事項、その他が7事項だった。
このうち、受取配当等の益金不算入に関する事例をみると、A信用金庫は平成28年4月から31年3月までの3事業年度分申告において、その他の株式等に係る受取配当の額の50%相当額と非支配目的株式等に係る受取配当等の額の20%相当額との合計額をそれぞれ受取配当等の益金不算入額としていた。
しかし、A信用金庫の法人税申告書の受取配当等に関する資料等によれば、非支配目的株式等に係る受取配当等の額には、受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金が含まれていたたにもかかわらず、その事業年度の所得金額が過小となっているのにこれを見過ごしたことから3事業年度合わせて970万円が徴収不足となっていた。
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