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国税庁 路線価の減額補正せず 大幅下落「なかった」

 国税庁は10月28日、今年1月~6月に発生した相続に対して、相続税路線価の減額補正を行わないことを発表した。コロナ禍による地価の急落を受け、昨年は大阪市中央区など一部のエリアについて最大1割を減額する補正措置を実施していたが、今年については補正が必要になるほどの大幅な下落はなかったと判断した。
 相続税路線価は、その年に発生するすべての相続に適用される、財産評価額の算定基礎となる土地の値段だ。毎年1月1日時点での地価を示す公示地価の8割が目安とされる。ただ年の途中で大規模な自然災害などが発生すると、取引される時価と路線価に大幅なかい離が起きてしまうことから、特定の地域などで大規模な地価急落があった際には、減額補正を行われることがある。これまで東日本大震災など自然災害でしか実施されてこなかったが、コロナ禍によるインバウンドの消失、人流の激減などを受け、昨年に初めて災害以外の理由で減額補正が行われた。対象となったのは海外観光客に人気のあった大阪市中央区のミナミなどの一部地域で、最大で1割減などとなっていた。
 今年7月に公表された最新の路線価では、全国平均で前年比0.5%減となり、6年ぶりに下落した。さらに発表があったタイミングで第5波がきていたこともあり、国税庁は「今後、年の途中で大幅に地価が下落した場合、20年路線価同様、補正を行うことを検討する」と減額補正の可能性があることを示唆していた。しかしその後、外部専門家などによる地価動向調査を行った結果、補正が必要な大幅下落はなかったと判断した。
 もっとも今回決定されたのは今年1月~6月に発生した相続のみが対象だ。今後再び新規感染者数が増加し、地価に大きな影響があるようであれば、下半期について減額補正が行われる可能性は否定できない。

提供元:エヌピー通信社

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 国税庁は10月28日、今年1月~6月に発生した相続に対して、相続税路線価の減額補正を行わないことを発表した。コロナ禍による地価の急落を受け、昨年は大阪市中央区など一部のエリアについて最大1割を減額する補正措置を実施していたが、今年については補正が必要になるほどの大幅な下落はなかったと判断した。 相続税路線価は、その年に発生するすべての相続に適用される、財産評価額の算定基礎となる土地の値段だ。毎年1月1日時点での地価を示す公示地価の8割が目安とされる。ただ年の途中で大規模な自然災害などが発生すると、取引される時価と路線価に大幅なかい離が起きてしまうことから、特定の地域などで大規模な地価急落があった際には、減額補正を行われることがある。これまで東日本大震災など自然災害でしか実施されてこなかったが、コロナ禍によるインバウンドの消失、人流の激減などを受け、昨年に初めて災害以外の理由で減額補正が行われた。対象となったのは海外観光客に人気のあった大阪市中央区のミナミなどの一部地域で、最大で1割減などとなっていた。 今年7月に公表された最新の路線価では、全国平均で前年比0.5%減となり、6年ぶりに下落した。さらに発表があったタイミングで第5波がきていたこともあり、国税庁は「今後、年の途中で大幅に地価が下落した場合、20年路線価同様、補正を行うことを検討する」と減額補正の可能性があることを示唆していた。しかしその後、外部専門家などによる地価動向調査を行った結果、補正が必要な大幅下落はなかったと判断した。 もっとも今回決定されたのは今年1月~6月に発生した相続のみが対象だ。今後再び新規感染者数が増加し、地価に大きな影響があるようであれば、下半期について減額補正が行われる可能性は否定できない。提供元:エヌピー通信社
2021.11.04 16:30:39