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溜め込まれた484兆円 内部留保課税の現実味 二重課税にあたるとの懸念も

 企業の内部留保や現預金への課税を検討すべき、という主張が与野党からされている。課税により、企業が内部留保を賃上げに回す動機付けになったり、税収確保につながったりするとの考えからだ。一方で、こうした課税には問題も多く指摘されている。
 内部留保(利益剰余金)とは、企業の毎年の当期純利益から配当や法人税などを引いた残りが蓄積したものを指す。財務省が9月に発表した法人企業統計によると、2020年度の内部留保(金融・保険業除く)は約484兆円と、9年連続で過去最大を更新した。
 「企業は内部留保を蓄えるだけで賃上げや設備投資に回していない」などの批判から、これまでも内部留保への課税論は浮かんできた。17年の衆院選では小池百合子氏が代表を務めた「希望の党」は消費増税凍結の代替財源として公約に盛り込み、批判を受けてその後軌道修正した。10月31日投開票の衆院選では社民党が、3年間消費税をゼロにするための財源として大企業の内部留保に課税する政策を掲げた。自民党の高市早苗政調会長は10月13日、民放テレビ番組で、賃上げのための私案として「現預金課税」を提言した。借り入れによっても増加する現預金は内部留保とは異なるものであるが、高市氏の念頭には内部留保と同様の問題意識があるとみられる。
 一方で、内部留保課税には問題も多く指摘される。アナリストは「コロナ禍の経済危機の中、内部留保は企業を守った。税制で内部留保を減らすことは企業の財務体質を悪化させることになりうる」と話す。課税により企業が日本から撤退することや海外投資の鈍りなどによる国内経済や雇用への影響も懸念されるという。また、法人税を支払った後の利益にかかることから、「二重課税」との批判も根強い。資本金1億円以上の特定同族会社で一定以上の内部留保がある場合に追加で課税される税制が存在する。現在の適用範囲はかなり限定的だが、対象の拡大の議論も含め、今後注視していく必要がある。

提供元:エヌピー通信社

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8月1日更新

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 企業の内部留保や現預金への課税を検討すべき、という主張が与野党からされている。課税により、企業が内部留保を賃上げに回す動機付けになったり、税収確保につながったりするとの考えからだ。一方で、こうした課税には問題も多く指摘されている。 内部留保(利益剰余金)とは、企業の毎年の当期純利益から配当や法人税などを引いた残りが蓄積したものを指す。財務省が9月に発表した法人企業統計によると、2020年度の内部留保(金融・保険業除く)は約484兆円と、9年連続で過去最大を更新した。 「企業は内部留保を蓄えるだけで賃上げや設備投資に回していない」などの批判から、これまでも内部留保への課税論は浮かんできた。17年の衆院選では小池百合子氏が代表を務めた「希望の党」は消費増税凍結の代替財源として公約に盛り込み、批判を受けてその後軌道修正した。10月31日投開票の衆院選では社民党が、3年間消費税をゼロにするための財源として大企業の内部留保に課税する政策を掲げた。自民党の高市早苗政調会長は10月13日、民放テレビ番組で、賃上げのための私案として「現預金課税」を提言した。借り入れによっても増加する現預金は内部留保とは異なるものであるが、高市氏の念頭には内部留保と同様の問題意識があるとみられる。 一方で、内部留保課税には問題も多く指摘される。アナリストは「コロナ禍の経済危機の中、内部留保は企業を守った。税制で内部留保を減らすことは企業の財務体質を悪化させることになりうる」と話す。課税により企業が日本から撤退することや海外投資の鈍りなどによる国内経済や雇用への影響も懸念されるという。また、法人税を支払った後の利益にかかることから、「二重課税」との批判も根強い。資本金1億円以上の特定同族会社で一定以上の内部留保がある場合に追加で課税される税制が存在する。現在の適用範囲はかなり限定的だが、対象の拡大の議論も含め、今後注視していく必要がある。提供元:エヌピー通信社
2021.10.28 16:55:51