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「相互協議」の発生件数185件、処理件数155件

 国税庁が公表した令和2事務年度(2年7月~3年6月)の相互協議の状況によると、令和2事務年度は前事務年度を15件(7%)下回る185件の相互協議事案が発生した。そのうち「事前確認」に係るものは146件で、全体の79%を占めている。「事前確認」とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には移転価格課税は行わないという制度。

 また、「移転価格課税その他」に係るものは39件で、全体の21%だった。ここでいう「移転価格課税その他」には、移転価格課税に加えて、恒久的施設(PE)に関する事案や、源泉所得税に関する事案などが含まれる。

 一方、令和2事務年度の処理件数は155件で、前事務年度からは31件(17%)の減少となった。このうち「事前確認」に係るものの処理件数は122件、「移転価格課税その他」に係るものの処理件数は33件。同事務年度の処理事案1件当たりに要した平均的な期間は30.3ヵ月(前事務年度29.4ヵ月)だった。処理件数を業種別にみると、「製造業」が109件で、「卸売・小売業」22件、「その他」24件。また、対象取引別にみると、「棚卸取引」が123件、「役務提供取引」87件、「無形資産取引」72件だった。

 令和2事務年度の相互協議事案の処理件数は155件となった一方で、発生件数は185件と処理件数を上回ったことから、翌事務年度への繰越件数は前事務年度比5.5%増の572件に増加している。繰越事案の相手国を国別にみると、「米国」が19%で最も多く、次いで「中国」(17%)、「インド」(15%)、「韓国」(11%)、「ドイツ」(7%)の順となっている。

 なお、国税庁では、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、事前確認に係る相互協議にも力を入れている。移転価格課税による追徴課税の大規模化が進むなか、相互協議のニーズはますます高まるものとみられている。

令和2事務年度の「相互協議の状況」について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁が公表した令和2事務年度(2年7月~3年6月)の相互協議の状況によると、令和2事務年度は前事務年度を15件(7%)下回る185件の相互協議事案が発生した。そのうち「事前確認」に係るものは146件で、全体の79%を占めている。「事前確認」とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には移転価格課税は行わないという制度。 また、「移転価格課税その他」に係るものは39件で、全体の21%だった。ここでいう「移転価格課税その他」には、移転価格課税に加えて、恒久的施設(PE)に関する事案や、源泉所得税に関する事案などが含まれる。 一方、令和2事務年度の処理件数は155件で、前事務年度からは31件(17%)の減少となった。このうち「事前確認」に係るものの処理件数は122件、「移転価格課税その他」に係るものの処理件数は33件。同事務年度の処理事案1件当たりに要した平均的な期間は30.3ヵ月(前事務年度29.4ヵ月)だった。処理件数を業種別にみると、「製造業」が109件で、「卸売・小売業」22件、「その他」24件。また、対象取引別にみると、「棚卸取引」が123件、「役務提供取引」87件、「無形資産取引」72件だった。 令和2事務年度の相互協議事案の処理件数は155件となった一方で、発生件数は185件と処理件数を上回ったことから、翌事務年度への繰越件数は前事務年度比5.5%増の572件に増加している。繰越事案の相手国を国別にみると、「米国」が19%で最も多く、次いで「中国」(17%)、「インド」(15%)、「韓国」(11%)、「ドイツ」(7%)の順となっている。 なお、国税庁では、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、事前確認に係る相互協議にも力を入れている。移転価格課税による追徴課税の大規模化が進むなか、相互協議のニーズはますます高まるものとみられている。
2021.10.22 16:00:50