岸田新内閣 注目される税制の行方
9月29日に投開票が行われた自民党総裁選で岸田文雄前政調会長が新総裁に選出され、岸田内閣が発足する。こうした中、新たな首相のもとでの税制の行方やそれを決定する自民党の税制調査会のメンバーがどうなるかにも注目が集まっている。
自民党税調は「インナー」と呼ばれる税制に詳しい数人のベテラン議員が毎年秋以降に非公式の会合を開いて増税や減税などの議論を事実上取り仕切り、毎年12月に税制改正大綱をまとめるのが通例となっている。2019、20年は甘利明税調会長のもとで議論が行われた。
しかし、今年は衆院選を控えているため、会長含め税調のメンバーは定まっていない。小委員長代理の林芳正氏は参院議員を辞職して衆院選にくら替え出馬し、河村建夫氏と議席を争うことになる。また、鴨下一郎氏や塩崎恭久副会長ら、政界引退を表明している議員も複数いる。衆院選後の税調の布陣は今後の税制改正の方向性にも大きく影響するとみられ、大きな焦点となっている。
コロナ禍で広がった格差是正を掲げる岸田首相は、今後10年間は消費増税を行わない考えを示していることもあり、財源確保策として所得税率の引き上げを検討していく可能性もある。すでに金融所得にかかる課税強化を検討する方針を表明しており、どのような税目が議論の対象となりうるかも注目される。
例年だと11月後半に始まる税調の日程はまだ見通せていない。自民税調関係者は「今年はとにかく短期決戦となるため、どこまで多くの検討事項を扱うことができるかどうか気がかりだ」と話している。
提供元:エヌピー通信社