文科省、ゴルフ場利用税のあり方の見直しを要望
今年は、松山英樹選手がマスターズで優勝、笹生優花選手が全米女子オープンで優勝、さらには稲見萌寧選手が東京オリンピックで銀メダルを獲得したことからゴルフ人気が盛り上がったことは記憶に新しい。
ところで、ゴルフ場でプレーすると、国民体育大会やオリンピックなどの国際的な大会に参加するゴルファーや18歳未満・70歳以上、障害者、学校の授業で利用する場合を除き、都道府県税であるゴルフ場利用税が利用者に課税される。税率は、1人1日につき800円だが、都道府県は、ゴルフ場の整備状況に応じて1人1日につき1200円を限度に税率に差を設けることができる。税収は431億円(令和元年度)にのぼっており、税収の7割はゴルフ場がある市町村に配分される。
スポーツで課税されているのは、唯一ゴルフのみであることから、文部科学省(スポーツ庁)は、ここ数年、税制改正要望でゴルフ場利用税の「廃止」を求め続けてきた。要望に変化が出たのが、令和2年度で「非課税措置の拡充」に、令和3年度では「ゴルフ場利用税のあり方の見直し」となり、令和4年度も前年度に続く「ゴルフ場利用税のあり方の見直し」とする要望を行っている。
これまで要望が実現しなかったのは、総務省によると、山林原野を切り開いて広大なフィールドを確保するゴルフ場の維持管理には、アクセス道路の整備や地滑り対策等、多大な行政コストがかかっており、一般にゴルフ場は山間部にあるため税収の少ない市町村が多いことから、ゴルフ場利用税はゴルフ場関連の行政サービスのための貴重な財源となっていること、また、ゴルフ利用料金は、他のスポーツ施設利用料金と比べ一般に高額であることから利用者には担税力が認められることに着目して課税していることが理由。
コロナ禍の影響で地方財政は厳しい。税収減に直結する「廃止」ではなく、「見直し」が要望としてどう反映されるか。年末に公表される予定の与党税制改正大綱を待つことになる。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)