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「税務行政の将来像」を改定~デジタル活用で「リモート調査」拡大

 デジタル活用によりサービスや仕事の在り方を変革する「デジタル・トランスフォーメーション」を推進する動きが社会全体で広がる中、国税庁ではこのほど「税務行政の将来像」(平成29年6月公表)を改定。「デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し」(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでいく方針を明確にするとともに、目指すべき将来像について、経済社会の変化やデジタル技術の進展等を踏まえてアップデートした。

 具体的には、これまでと同様、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示すとともに、課税・徴収におけるデータ分析の活用等の取組みを更に進めていくこととしている。

 「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた将来構想としては、申告の簡便化、申請等の簡便化、自己情報のオンライン確認などを提示。申告の簡便化では、確定申告に必要なデータ(給与や年金の収入金額、医療費の支払額など)を申告データに自動で取り込むことにより、数回のクリック・タップで申告が完了する仕組みの実現を目指すとし、マイナポータルの画面を用いて操作方法をわかりやすく解説している。

 申請等の簡便化では、ワンスオンリー(一度提出した情報は、二度提出することは不要とする)を徹底する観点から、申請や届出についてはその要否を絶えず見直すこととし、その上で必要なものについては入力事項を最小限にし、数回のクリック・タップで手続きが完了する仕組みの実現を目指すとしている。自己情報のオンライン確認では、特例適用(青色承認、消費税簡易課税等)や納税(未納税額がない旨等)の状況については、マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組みの実現を目指すとしている。

 また「税務署に行かずにできる相談」として、チャットボットの充実やプッシュ型の情報配信なども挙げており、プッシュ型情報配信では、マイナポータルやe-Taxのお知らせを通じて、申告の要否や適用できる特例など、個々の納税者の状況に応じた情報をプッシュ型で提供する仕組みの実現を目指すとしている。

 このほか、「課税・徴収の効率化・高度化」に関する取組状況として、申告内容の自動チェックやAI・データ分析の活用、照会等のオンライン化に加え、リモート調査にも触れている。国税庁では、税務調査の効率化を進める観点から、令和2年7月より大規模法人を対象にWeb会議システムなどを利用したリモート調査を実施しているが、今後、国税庁においても必要な機器・環境の整備を進め、リモート調査の拡大に取り組んでいきたいとしている。

「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 デジタル活用によりサービスや仕事の在り方を変革する「デジタル・トランスフォーメーション」を推進する動きが社会全体で広がる中、国税庁ではこのほど「税務行政の将来像」(平成29年6月公表)を改定。「デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し」(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでいく方針を明確にするとともに、目指すべき将来像について、経済社会の変化やデジタル技術の進展等を踏まえてアップデートした。 具体的には、これまでと同様、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示すとともに、課税・徴収におけるデータ分析の活用等の取組みを更に進めていくこととしている。 「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた将来構想としては、申告の簡便化、申請等の簡便化、自己情報のオンライン確認などを提示。申告の簡便化では、確定申告に必要なデータ(給与や年金の収入金額、医療費の支払額など)を申告データに自動で取り込むことにより、数回のクリック・タップで申告が完了する仕組みの実現を目指すとし、マイナポータルの画面を用いて操作方法をわかりやすく解説している。 申請等の簡便化では、ワンスオンリー(一度提出した情報は、二度提出することは不要とする)を徹底する観点から、申請や届出についてはその要否を絶えず見直すこととし、その上で必要なものについては入力事項を最小限にし、数回のクリック・タップで手続きが完了する仕組みの実現を目指すとしている。自己情報のオンライン確認では、特例適用(青色承認、消費税簡易課税等)や納税(未納税額がない旨等)の状況については、マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組みの実現を目指すとしている。 また「税務署に行かずにできる相談」として、チャットボットの充実やプッシュ型の情報配信なども挙げており、プッシュ型情報配信では、マイナポータルやe-Taxのお知らせを通じて、申告の要否や適用できる特例など、個々の納税者の状況に応じた情報をプッシュ型で提供する仕組みの実現を目指すとしている。 このほか、「課税・徴収の効率化・高度化」に関する取組状況として、申告内容の自動チェックやAI・データ分析の活用、照会等のオンライン化に加え、リモート調査にも触れている。国税庁では、税務調査の効率化を進める観点から、令和2年7月より大規模法人を対象にWeb会議システムなどを利用したリモート調査を実施しているが、今後、国税庁においても必要な機器・環境の整備を進め、リモート調査の拡大に取り組んでいきたいとしている。
2021.06.16 16:57:36