「経産省」有識者研究会を設置 GAFA課税の整備に着手
経済のデジタル化が世界規模で急速に進む中、経済産業省は有識者による研究会を設置し、適切な課税ルールの整備作業に着手した。最大のテーマは、国境を越えて事業を拡大するプラットフォーマー(巨大IT企業)への対応。各国の意見が食い違って足並みがそろわない現状で、日本がデジタル課税のあり方を独自に打ち出せるか注目される。方向性をまとめるのは今夏になりそうだ。
現在の国際規定では、国内に拠点がある国しか課税できないため、欧州を中心に「巨大IT企業の課税逃れにつながっており不公平」との批判が根強い。新たなルールとして物理的な拠点が国内になくても課税可能な仕組みが模索されている。特にプラットフォーマーの顔であるGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を抱える米国がルール改定に及び腰だったが、バイデン政権になって歩み寄りの姿勢に転じた。
経済協力開発機構(OECD)は約140カ国・地域で議論を先行しているが、すでに多くの課題が表面化している。課税のシステム自体が複雑になるほか、米ネットフリックスに代表される動画配信サービスなど議論中に急拡大する業界も出てきており、課税対象の適切な線引きが難しい。
経産省はOECDが新しい課税ルールを導入できない事態を想定しており、プラットフォーマーの国内売り上げ分に課税する仕組みを検討する模様だ。ただ最低税率を巡っては、アジアで事業を展開する日本企業の負担が増加する可能性があり、国内の理解を得られるよう議論をまとめられるか予断を許さない状況だ。
提供元:エヌピー通信社