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麻生財務相の答弁 コロナ増税を示唆?

 新型コロナウイルス対策で政府の財政負担が増大する中、2月16日の国会で、感染収束後の増税を巡る質疑があった。麻生太郎財務相が過去の危機対応を例に「負担を分かち合う取り組みを行ってきた」と発言。これが増税を含む負担増の可能性を示唆したとも取れるとして一部で関心を呼んでいる。
 発言は16日の衆議院財務金融委員会でとび出した。立憲民主党の日吉雄太氏が「世の中では、コロナ収束後に消費税を15%に上げるのではなどと不安視されている」として、増税に関する財務省の所見を問うた際のものだ。
 これに対し、麻生氏は08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災を引き合いに「今回のコロナを含め、危機のたびに我々は国民生活の安定を守るため果断な財政措置を取ってきた」とした上で、「将来世代への責任を果たすため今の世代が負担を分かち合う取り組みを併せて行ってきた」と述べた。
 実際、これらの危機時に政府はいずれも巨額の補正予算を編成し、大規模な経済対策を講じた。それと同時に、リーマン・ショック後には消費税率10%への引き上げを打ち出し、東日本大震災後には所得税率の2.1%上乗せ(25年間)と個人住民税の年1000円上乗せ(10年間)、法人税の税額10%上乗せ(2年間)を実施している。
 麻生氏は、今回のコロナ禍でも景気回復がまずは優先との考えを強調しつつ、「財政の持続性確保という問題を含め将来世代への責任や義務を念頭に置いてやっていく必要がある」と言及した。その上で「今すぐ消費税を上げる前にやらねばならんことがあるのではないか」とも述べたが、ある財務省幹部は「裏を返せば、景気回復後には増税を含む負担の議論は避けられないということだ」と解説する。
 ただ、菅義偉首相は消費税について「10年間は上げない」と公言するなど、現政権は必ずしも増税に理解があるとは言えない。何より「コロナ収束後すぐに増税となれば世の中の将来不安が強まり、かえって景気が冷え込む」(日吉氏)ことも懸念される。麻生氏や財務省の筋書き通りに進むかどうかは見通せない。

提供元:エヌピー通信社

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 新型コロナウイルス対策で政府の財政負担が増大する中、2月16日の国会で、感染収束後の増税を巡る質疑があった。麻生太郎財務相が過去の危機対応を例に「負担を分かち合う取り組みを行ってきた」と発言。これが増税を含む負担増の可能性を示唆したとも取れるとして一部で関心を呼んでいる。 発言は16日の衆議院財務金融委員会でとび出した。立憲民主党の日吉雄太氏が「世の中では、コロナ収束後に消費税を15%に上げるのではなどと不安視されている」として、増税に関する財務省の所見を問うた際のものだ。 これに対し、麻生氏は08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災を引き合いに「今回のコロナを含め、危機のたびに我々は国民生活の安定を守るため果断な財政措置を取ってきた」とした上で、「将来世代への責任を果たすため今の世代が負担を分かち合う取り組みを併せて行ってきた」と述べた。 実際、これらの危機時に政府はいずれも巨額の補正予算を編成し、大規模な経済対策を講じた。それと同時に、リーマン・ショック後には消費税率10%への引き上げを打ち出し、東日本大震災後には所得税率の2.1%上乗せ(25年間)と個人住民税の年1000円上乗せ(10年間)、法人税の税額10%上乗せ(2年間)を実施している。 麻生氏は、今回のコロナ禍でも景気回復がまずは優先との考えを強調しつつ、「財政の持続性確保という問題を含め将来世代への責任や義務を念頭に置いてやっていく必要がある」と言及した。その上で「今すぐ消費税を上げる前にやらねばならんことがあるのではないか」とも述べたが、ある財務省幹部は「裏を返せば、景気回復後には増税を含む負担の議論は避けられないということだ」と解説する。 ただ、菅義偉首相は消費税について「10年間は上げない」と公言するなど、現政権は必ずしも増税に理解があるとは言えない。何より「コロナ収束後すぐに増税となれば世の中の将来不安が強まり、かえって景気が冷え込む」(日吉氏)ことも懸念される。麻生氏や財務省の筋書き通りに進むかどうかは見通せない。提供元:エヌピー通信社
2021.02.18 16:03:29