消費税10%増税1年 コロナ禍で高まる反発感
10月1日で消費税10%引き上げから1年となった。8%に引き上げた2014年同様、大きな反動減に見舞われた上に、新型コロナウイルス感染拡大によって景気は大幅な落ち込みが続き、結果的に3四半期連続のマイナス成長につながった。コロナ禍で消費税に対する反発は強く、財務省としては「当面じっとしている」しかない状況だ。
「少子高齢化に対応していくためには、消費税によって全世代で負担してもらうという考え方で進めてきた。消費や景気に与えた影響がプラスだったと思っているわけではないが、経済全体としては良かった」
麻生太郎財務相は9月29日の会見で、消費税引き上げの意義を強調した。
消費税は12年の「社会保障と税の一体改革」関連法に基づき、5%から10%へと2回に分けて引き上げられた。税率10%のうち、地方分を除いた6.28%分(国の収入)は、社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども子育て)に充てられる仕組みだ。
高齢化の進展に伴い、社会保障費給付費は19年度に123兆円に。40年には190兆円に達する見込みだ。そのうち約6割は現役世代の保険料で賄ってきたが、大企業会社員の保険料負担率が30%(労使合計)近くまで上昇する中、現役世代の負担は限界に近づきつつある。
財務省としては、あらゆる世代が広く薄く負担する消費税の役割を高めたいのが本音だが、コロナ禍による急激な景気停滞で「増税を口にできる状況ではない」(与党税調幹部)。野党は消費減税を争点化して次期衆院選を戦う構えで、与党内でも浮足立つ若手の中から減税論を求める声が出ている。社会保障と財源を巡る議論は、コロナ禍の終息と次期衆院選まで絶望的となっている。
提供元:エヌピー通信社