調剤問屋仕入れは共通売上対応分に区分して計算すべきと指摘
薬局が問屋から仕入れた医薬品等の処理を巡り、用途区分と用途区分の誤りを理由とした更正の請求がその要件を満たすか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当と判断するとともに、その他の資産の譲渡等のみに要するものに区分したことは仕入税額控除の適用を誤っており、更正の請求の要件を満たしていない場合に該当すると判断したが、審判所認定額が原処分庁認定額を下回ったため、一部取消しという裁決結果になった。
この事件は、調剤薬局等の事業を営む審査請求人が、消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)2項1号に基づく仕入税額控除額を計算する際に、調剤薬品等の課税仕入れを課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきところ、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに区分したため、納付すべき消費税等の額を過大に算定していたとして更正の請求をしたのが発端。
これに対して原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。原処分庁側は、請求人が消費税法30条2項1号に基づき医薬品等の課税仕入れの用途区分を課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(その他の資産の譲渡等)のみに要するものに区分したことはその目的等に照らして合理的であるから、用途区分を誤っていたことを理由とする更正の請求は、国税通則法23条(更正の請求)1項1号の要件を満たさない旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。
裁決はまず、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上のために使用するとは限らず、課税となる売上のために使用する場合もあったと認められるから、問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当であると指摘。
その上で、請求人が問屋からの医薬品等の課税仕入れをその他の資産の譲渡等のみに要するものに区分したことは、消費税法30条2項1号の適用を誤ったものと認められることから、更正の請求の要件に従っていない場合に該当すると判断するとともに、請求人が各課税期間における控除対象仕入税額を計算する際に、調剤仕入れを全て非課税売上対応分に区分していたことは誤りであり、調剤問屋仕入れについては共通売上対応分に区分して控除対象仕入税額を計算すべきであったと指摘した。
しかし、納付すべき消費税等の額を計算すると、審判所の認定額はいずれも原処分庁認定額を下回ったことから、結果的に一部取消しという裁決になった。
(2019.07.17 国税不服審判所裁決)
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