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福岡地裁も東京地裁に続き番号制度の利用差止請求を棄却

 番号利用法及び番号制度(マイナンバー制度)の利用差止を求める訴訟が相次ぐ中、今年2月25日の東京地裁判決に続き、福岡地裁(立川毅裁判長)も類似の事案に対して、漏えい及び目的外利用等を防ぐ法制度上又はシステム技術上の措置がとられており、また正当な行政目的の範囲を逸脱して収集、保管、利用、開示又は公表される具体的な危険があるとはいえないと指摘した上で、番号制度によって憲法13条が保障する個人情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由が侵害されているとはいえないと判示して、請求を棄却した。

 この事件は、東京地裁の事件と同様、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)に基づき個人番号の付番を受けた者らが、番号制度はプライバシー権(自己情報コントロール権)等を侵害し、憲法13条に違反すると主張、国に対し1)プライバシー権に基づく妨害排除又は妨害予防請求として個人番号の収集、保管、利用及び提供の差止め並びに国が保管している個人番号の削除を求めるとともに、2)国家賠償法に基づく損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払いを求めて提訴した事案である。

 原告側は、極めて高度な情報化社会を迎えた今日、私事の公開、私生活への侵入からの自由にとどまらず、自己の個人情報が収集、保管利用、提供される各場面においては、事前にその目的を示され、目的のための収集、利用等について同意権を行使する(=自己決定する)ことが個人の人格的生存に不可欠となっている意味からも、自己情報コントロール権も憲法13条によって保障されているという解釈を展開、番号制度の利用差止を求めた。

 つまり、原告らの同意なく、特定個人情報を収集、保管し、更に今後広く利用、提供等を行い利活用しようとしており、原告らが自ら自己の個人情報の収集、保管、利用、提供について同意権を行使し、自己決定する権利を侵害しているという主張だ。というのも、漏えい、名寄せ・突合(データマッチング)、現代的プロファイリング、成りすましの危険性、性同一性障害者らの人格権侵害等が危惧されるからだ。

 しかし福岡地裁も、番号利用法及び番号制度は行政運営の効率化、より公正な給付と負担の確保、国民の利便性向上という正当な目的の下、慎重な取扱いを要する場合がある個人番号や特定個人情報について、漏えい及び目的外利用等を防ぐ法制度上又はシステム技術上の措置がとられていると指摘。
 
 また、法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して収集、保管、利用、開示又は公表される具体的な危険があるとはいえないとも指摘。その上で、番号制度によって、憲法13条が保障する原告らの個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由が侵害されているとはいえないと判示して、請求を棄却した。

  (2020.06.15福岡地裁判決、平成28年(ワ)第1123号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2020.06.29 17:02:59