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三菱UFJ銀行 「紙の通帳」やめると1000円進呈 印紙税の節約でコスト軽減

 三菱UFJ銀行は、紙の通帳をスマートフォンやパソコンで見るデジタル通帳に切り替えた預金者に1000円を還元する取り組みを1月24日から始めた。超低金利によって銀行業界の収益環境が厳しさを増す中、印紙税のかからない通帳の普及でコスト軽減を図る。
 同行に普通口座を持つ先着10万人が対象で、3月までキャンペーンを行う予定だ。インターネットバンキングによるデジタル通帳では、入金や出金の記録をデータで管理でき、記帳や繰り越しのために銀行窓口やATM(現金自動受払機)へ行く手間が省ける。ネットに接続していれば、銀行の営業時間外であっても口座情報を確認できる。
 同行では昨年6月から、新規に口座を開設する場合には原則デジタル通帳を利用するよう促している。最長10年分の明細を無料で確認できるなど利便性を高めている。キャンペーンで10万人に1000円ずつ提供すれば最低でも1億円の支出になるが、それでも取り組む背景には、銀行が発行する紙の通帳に課される印紙税の重い負担がある。
 紙の通帳は、契約書や領収書などと同様に法律で課税文書と定められ、1口座あたり年間200円の印紙税を銀行が負担している。3500万の顧客を抱える同行は毎年約80億円の税金を支払っており、銀行業界全体では約700億円に上る。
 同じ紙の通帳でも、銀行が発行すると課税対象だが、信用金庫や農業協同組合などが発行すると非課税だ。銀行関係者は「なぜ銀行だけ印紙税を負担しなければならないのか。課税の公平性が保たれていない」と批判する。
 印紙税による税収は毎年1兆円程度で推移する大きな財源だ。その一方で電子取引は課税対象外になっているなど「昨今の取引実態の変化に対応できておらず、ペーパーレスの観点でも見直しが急務ではないか」(金融業界)と指摘する声も根強い。

提供元:エヌピー通信社

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 三菱UFJ銀行は、紙の通帳をスマートフォンやパソコンで見るデジタル通帳に切り替えた預金者に1000円を還元する取り組みを1月24日から始めた。超低金利によって銀行業界の収益環境が厳しさを増す中、印紙税のかからない通帳の普及でコスト軽減を図る。 同行に普通口座を持つ先着10万人が対象で、3月までキャンペーンを行う予定だ。インターネットバンキングによるデジタル通帳では、入金や出金の記録をデータで管理でき、記帳や繰り越しのために銀行窓口やATM(現金自動受払機)へ行く手間が省ける。ネットに接続していれば、銀行の営業時間外であっても口座情報を確認できる。 同行では昨年6月から、新規に口座を開設する場合には原則デジタル通帳を利用するよう促している。最長10年分の明細を無料で確認できるなど利便性を高めている。キャンペーンで10万人に1000円ずつ提供すれば最低でも1億円の支出になるが、それでも取り組む背景には、銀行が発行する紙の通帳に課される印紙税の重い負担がある。 紙の通帳は、契約書や領収書などと同様に法律で課税文書と定められ、1口座あたり年間200円の印紙税を銀行が負担している。3500万の顧客を抱える同行は毎年約80億円の税金を支払っており、銀行業界全体では約700億円に上る。 同じ紙の通帳でも、銀行が発行すると課税対象だが、信用金庫や農業協同組合などが発行すると非課税だ。銀行関係者は「なぜ銀行だけ印紙税を負担しなければならないのか。課税の公平性が保たれていない」と批判する。 印紙税による税収は毎年1兆円程度で推移する大きな財源だ。その一方で電子取引は課税対象外になっているなど「昨今の取引実態の変化に対応できておらず、ペーパーレスの観点でも見直しが急務ではないか」(金融業界)と指摘する声も根強い。提供元:エヌピー通信社
2020.01.23 16:40:06