HOME ニュース一覧 国税庁、「シェアリングエコノミー」への対応を公表

税ニュース

国税庁、「シェアリングエコノミー」への対応を公表

 国税庁はこのほど、「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応」をホームページ上で公表した。この背景には、パソコンやインターネット等の情報通信ネットワークの発展・普及に伴いビジネスの実態が大きく変化していることがある。

 例えば、クラウドサービスの普及によるデジタルコンテンツの配信・利用など多様な取引が可能となっているほか、スマートフォンやタブレット端末の普及により、事業者のみならず消費者もネットワークを容易に利用できるようになり、いわゆるシェアリングエコノミー、仮想通貨取引等が増加してきた。またネットワーク上では、広告料収入のみで運営され消費者が無償で利用できる動画や音楽等のコンテンツ配信、スマートフォンの各種アプリケーション等も普及してきている。

 このような取引はネットワーク上で行われているもので、1)広域的・国際的な取引が比較的容易、2)足が速い、3)無店舗形態の取引やヒト・モノの移動を伴わない取引も存在するなど外観上、取引の実態が分かりにくい、4)申告手続等に馴染みのない人も参入が容易、などといった特徴があり、適正な申告を行っていない納税者を見過ごすことになりかねない。

そこで国税庁では、こうした分野に係る情報収集を拡充し、情報の分析機能を高めることにより、課税上問題があると見込まれる納税者を的確に把握し、適正な課税の確保に向けて行政指導も含めた更なる取組みが必要であるとしている。

 具体的には、必要に応じてお尋ね文書を送付するなどして、取引の有無やその内容について確認。修正申告や期限後申告が必要と思われる納税者に対しては自主的な申告内容の見直しや申告の必要性の確認を要請する。こうした行政指導を効果的・効率的に実施するため、担当部署を設置することも検討していくという。

 また、大口・悪質な申告漏れが見込まれる納税者に対しては、必要に応じて反面調査や租税条約等に基づく外国当局への情報提供要請を行い、的確に証拠収集や事実認定を行う。また、調査でデジタル・データを取り扱う必要がある場面などは、国税局や税務署に配置された情報技術専門官も必要に応じて対応し、デジタル・フォレンジックなどの手法・技術も活用しながら、的確な証拠の保全に努めていくとしている。

 これまで国税庁では、インターネットを介した取引について、全国税局に設置している「電子商取引専門調査チーム」を中心に情報収集・分析等に取り組んできたが、今後はシェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動にも狙いを定め、急ピッチで調査態勢等を整えていく構えだ。

シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

消費税等の負担のない取得と判断、住宅ローン控除の適用を否認

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2019/img/img_kokuzei_01_s.jpg
 国税庁はこのほど、「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応」をホームページ上で公表した。この背景には、パソコンやインターネット等の情報通信ネットワークの発展・普及に伴いビジネスの実態が大きく変化していることがある。 例えば、クラウドサービスの普及によるデジタルコンテンツの配信・利用など多様な取引が可能となっているほか、スマートフォンやタブレット端末の普及により、事業者のみならず消費者もネットワークを容易に利用できるようになり、いわゆるシェアリングエコノミー、仮想通貨取引等が増加してきた。またネットワーク上では、広告料収入のみで運営され消費者が無償で利用できる動画や音楽等のコンテンツ配信、スマートフォンの各種アプリケーション等も普及してきている。 このような取引はネットワーク上で行われているもので、1)広域的・国際的な取引が比較的容易、2)足が速い、3)無店舗形態の取引やヒト・モノの移動を伴わない取引も存在するなど外観上、取引の実態が分かりにくい、4)申告手続等に馴染みのない人も参入が容易、などといった特徴があり、適正な申告を行っていない納税者を見過ごすことになりかねない。 そこで国税庁では、こうした分野に係る情報収集を拡充し、情報の分析機能を高めることにより、課税上問題があると見込まれる納税者を的確に把握し、適正な課税の確保に向けて行政指導も含めた更なる取組みが必要であるとしている。 具体的には、必要に応じてお尋ね文書を送付するなどして、取引の有無やその内容について確認。修正申告や期限後申告が必要と思われる納税者に対しては自主的な申告内容の見直しや申告の必要性の確認を要請する。こうした行政指導を効果的・効率的に実施するため、担当部署を設置することも検討していくという。 また、大口・悪質な申告漏れが見込まれる納税者に対しては、必要に応じて反面調査や租税条約等に基づく外国当局への情報提供要請を行い、的確に証拠収集や事実認定を行う。また、調査でデジタル・データを取り扱う必要がある場面などは、国税局や税務署に配置された情報技術専門官も必要に応じて対応し、デジタル・フォレンジックなどの手法・技術も活用しながら、的確な証拠の保全に努めていくとしている。 これまで国税庁では、インターネットを介した取引について、全国税局に設置している「電子商取引専門調査チーム」を中心に情報収集・分析等に取り組んできたが、今後はシェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動にも狙いを定め、急ピッチで調査態勢等を整えていく構えだ。
2019.06.19 16:30:45