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差押処分の取消しを求める原告適格を有しないと判示、控訴審も棄却

 滞納処分に伴う財産の差押処分を巡って、滞納国税の徴収権の時効、差押処分の取消事由があることを理由に滞納処分の取消しを求めた事件で大阪高裁(藤下健裁判長)は、原審の大阪地裁の判決内容を支持して控訴人側の主張を斥け、棄却する旨の判決を言い渡した。

 この事件は、大阪国税局が控訴人Aに対して滞納国税の徴収権があることを理由に徴収権に基づく滞納処分として、株式等の財産を差し押さえたのが発端。そこで控訴人らが、差押処分に係る滞納国税の徴収権が時効により消滅していること、また差し押さえられた持分は差押処分の当時、控訴人Aでなく控訴人Bに帰属していたことを理由に、差押処分は違法でかつ取消事由があると反論、差押処分の取消しを求めて提訴したところ、一審の大阪地裁が控訴人Bは原告適格を有しないと判示して却下する一方、控訴人Aの請求には理由がないと判示して棄却したことから、更に取消しを求めて控訴したという事案である。

 控訴審で控訴人らは、補充主張の一つとして、管轄税務署は各株式が控訴人AからDに譲渡されたことを認識していたのであり、大阪国税局が非公開会社の中小企業である株式会社において株主名簿が作成されていないことを認識していたという経緯の下では、株主名簿の記載がないことを主張するのは信義則に反する旨主張した。

 これに対して控訴審は、むしろ、管轄税務署は各株式を控訴人Aのものであるという認識を持っていたものであるといえるから、控訴人らの主張はその前提を欠き、採用できないと斥けた。

 その結果、各株式の控訴人AからDへの譲渡には会社法130条1項が適用され、その譲渡について株主名簿の記載がなく、対抗要件を欠くものであるから、第三者である被控訴人つまり大阪国税局にその譲受を対抗できないと指摘するとともに、持分が控訴人Aから控訴人Bに承継されたという控訴人らの主張にも理由がなく、控訴人Bが差押処分の対象財産を有していたとは認められず、差押処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないと判示した。結局、控訴人らの控訴にはいずれも理由がないと判示して控訴人側の補充主張を悉く斥け、いずれも棄却する旨の判決を言い渡した。

               (2018.02.01大阪高裁判決、平成29年(行コ)第185号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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7月18日更新

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2019.05.13 16:03:33